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韓国、健康な50~64歳もワクチンの優先接種を検討…青少年の接種計画はまだ

登録:2021-01-12 02:21 修正:2021-01-12 09:59
11日の中央防疫対策本部の定例ブリーフィング 
5600万人分以外に、さらなるワクチンの確保を検討
11日午前、ソウル駅広場に設けられた新型コロナ臨時選別検査所で、医療スタッフが体をほぐしている/聯合ニュース

 韓国政府は、全国民が新型コロナウイルスの予防ワクチンを無料で接種できるようにする計画だ。政府は優先接種推奨対象の3600万人に対する無料接種を検討していたが、これを拡大するもの。政府はまた、慢性疾患のない健康な50~64歳の成人も優先接種推奨対象に含めることを検討しており、これまでに確保されている5600万人分以外に、さらなる物量の確保にも乗り出す方針だ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11日、大統領府本館で述べた新年の辞で「来月には(新型コロナ)ワクチン接種を始められる」、「優先順位に沿って順番に全国民が無料で接種を受けられるようにする」と語った。続いて「韓国企業が開発した治療薬の審査も進んでいる。安全性の検査と許可、使用と効果に至るまで全過程を隠すことなく公開する」とし「独自のワクチン開発も続けて督励していく」と付け加えた。

 ワクチン接種の費用は、ワクチン自体の価格と、実際の接種時にかかる費用とに分けられる。これまで政府は、コロナワクチン自体は無料で普及させるものの、優先接種対象者でない人からは接種費を受け取ることを検討してきた。疾病管理庁のナ・ソンウン次長は先月18日のブリーフィングで「ワクチン費用については、政府が無料で普及させる考え」とし「必須人材(優先接種推奨対象)に対しては接種費を政府が負担する考え」と述べている。また「必須人材を超える部分については、省庁間協議を通じて適正に(接種)費用を負担してもらうようにする」と述べた。ワクチンの種類が多いため、選ぶ種類が偏らないようにするためには、価格機能によってある程度は調整する必要があるという趣旨だった。

 政府の「全国民無料接種」への方向転換には、様々な政治的考慮が作用したものとみられる。政界の一部から「無料接種拡大」提案がなされているうえ、昨年、ワクチン確保に「もたついた」と非難される状態からの挽回に向けた布石である可能性がある。ただし中央防疫対策本部のチョン・ウンギョン本部長はこの日の定例ブリーフィングで、「個人にワクチンの選択権を提供するのは難しい」と述べている。

 この日、政府はまた、ワクチンの優先接種推奨対象に健康な50~64歳の成人を含めることを検討していることを明かした。防対本が公開したコロナワクチンの優先接種推奨対象者(案)には、医療機関従事者と療養病院等の集団施設での生活者および従事者、65歳以上の高齢者、慢性疾患のある成人、小児・青少年教育・保育施設の従事者、コロナ1次対応要員、警察・消防公務員・軍人、矯正施設および治療監護所の収監者および職員に加え、50~64歳の成人も含まれている。優先接種推奨対象者の規模について、チョン本部長は「3200万~3600万人程度と推定しており、具体的な名簿と規模の把握を自治体、関係省庁、関連協会を通じて行っている状況」と述べた。

 ただし18歳未満の青少年に対するワクチン接種には、依然として慎重な態度を示している。チョン本部長は「まだ青少年への接種計画を申し上げるのは早い」と述べた。小児・青少年はコロナによる重症化の可能性や致命率が低いうえ、まだ臨床試験を通じて安全性が確認されていないためだ。米食品医薬品局(FDA)は、ファイザーのワクチンを16~17歳の青少年が接種しても良いという判断を下している。

 また防疫当局は、政府が確保したワクチン5600万人分に不足はないと強調しつつも、これらのワクチンの供給や承認などの変数を考慮し、量をさらに確保することを検討中であることを明かした。チョン本部長は「現在(政府が)契約を結んでいるコロナワクチンの物量は5600万人分で、全国民の100%を超える物量だが、より安定したワクチン確保のために、さらなる物量の確保についても、引き続き各メーカーと協議しながら検討中」と述べた。政府が確保したワクチン5600万人分は、ワクチン接種の可能な18歳以上人口4410万人の127%にのぼる量だ。

キム・ジウン、イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/978260.html?_fr=st1韓国語原文入力:2021-01-11 17:51
訳D.K

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