退陣を目前にした日本の安倍晋三首相が、敵基地攻撃能力保有の認定について、次期政権が今年末までに結論を出すよう促す内容の談話を発表した。敵基地攻撃能力とは、日本が北朝鮮などのミサイル基地を直接攻撃できるという意味だ。次期政権が下す結論によっては、韓国の安全保障にもかなりの影響を及ぼし得る。
安倍首相は11日に開かれた国家安全保障会議(NSC)後に発表した談話で、いわゆる「ミサイル阻止」に関する新たな方針について、「与党ともしっかり協議しながら、今年末までにあるべき方策を示し、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境に対応していくこととする」という内容の談話を発表した。
「ミサイル阻止」とは、政権与党の自民党が、「敵基地攻撃能力」は専守防衛の原則に反するという議論による世論の反発を受けたことで最近使い始めた表現だ。安倍首相は談話で、ミサイル阻止についての新たな方針が必要な理由として「特に、北朝鮮は日本を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有している」とし、北朝鮮脅威論を挙げた。世論の反発を意識し、安全保障の新たな方針の検討は「憲法の範囲内において、国際法を順守しつつ、行われているものであり、専守防衛の考え方については、いささかの変更もない」と主張した。
持病の潰瘍性大腸炎の再発で先月末に辞任を発表した安倍首相は、今月16日に退陣する。安倍首相は、自分の退任後に新内閣が敵基地攻撃能力保有論について結論を出すよう釘を刺す意味で今回の談話を発表したとみられる。
敵基地攻撃能力保有論は1950年代からしばしば論議されてきたが、憲法違反の可能性を検討する理論的な論議レベルにとどまっていた。だが、安倍政権になって北朝鮮のミサイルの脅威が強調され、日本の敵基地攻撃能力保有論の主張が強くなった。特に日本政府が今年6月、北朝鮮のミサイル防衛のために導入を推進していた「イージス・アショア」(陸上配備迎撃ミサイルシステム)を、技術的な問題を理由として断念したことを受け、推進論が強まっていた。
自民党は先月4日午前、「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させるための新たな対応が必要」という内容を政府に提言した。当時、安倍首相は「提言を受け止め、しっかり新しい方向性を打ち出し、速やかに実行していく」と答えた。