来年から使用される日本の中学校の教科書に「竹島は一度も日本領土でなかったことはない」という趣旨の表現が登場するなど、独島に関する記述はさらに改悪された。昨年の日本の対韓輸出規制をきっかけに韓日関係が非常に冷え込んでいる中、悪材料がもう一つ加わった。
日本の文部科学省は24日、2021年から4年間使用する中学校教科書の検定結果を一斉に発表した。ハンギョレが中学校社会科の歴史7種、地理4種、公民6種の三科目17種の検定通過本を調べた結果、独島を韓国が「不法占拠している」との主張が全体の82%の14種に記述されていた。
日本文教出版は社会科の歴史教科書に「日本政府は竹島(日本が主張する独島の名称)が一度も他国の領土であったことのない日本固有の領土だと主張している」と書いている。日本政府は、「固有の領土」という言葉は一度も日本領土でなかったことがないという意味だと説明してきたが、これを教科書にそのまま反映したものだ。
また、独島の領有権を主張するため、独島でのアシカ猟の写真を使用した事例も増えた。日本は日本の漁民が以前から独島でアシカ猟をしていたことをもって、独島領有権の根拠だと主張してきた。今回、日本文教出版、教育出版が、アシカ猟をする漁民の写真を新たに掲載した。東京書籍と帝国書院は直前の2015年の検定本からアシカ猟の写真を掲載している。
採択率が最も高い東京書籍の歴史教科書には「サンフランシスコ平和条約が発効する直前、韓国は公海上に一方的に境界線を引いて日本固有の領土である竹島を韓国側に入れ、不法に占拠している」という一文を入れた。このほかにも検定を通過した7種の中学校社会科歴史教科書のうち4種に「日本固有の領土であり、韓国が不法占拠している」という内容が盛り込まれた。公民および地理教科書10種には「不法占拠」という主張が100%記されている。
また、東京書籍の公民の教科書には「日本は(韓国の)独島不法占拠に抗議する一方、国際司法裁判所(ICJ)に任せて問題を平和的に解決しようと1954年、1962年、2008年の3回にわたって提案したが、韓国は拒否している」との記述が、2015年の検定本に続き今回も掲載された。日本の中学生は社会科の歴史、公民、地理で繰り返し「日本は独島問題を平和的に解決しようとしているが、韓国が頑なに拒否している」と学ぶことになるわけだ。
中学校教科書の独島に関する記述の分量は2015年に比べ急激に増えてはいない。安倍晋三政権になって小中高校の教科書改悪作業は既に一通り完了しているためだ。
また、日本文教出版は2015年に引き続き「賠償問題と歴史認識」と題した文章で、「1965年の日韓請求権協定において、国家と個人の請求権問題は完全かつ最終的に解決されたことを確認するとともに、日本は韓国に経済援助を行った」と記している。日本政府も個人の請求権の存在自体は否定できていないということに対する記述はない。
聖公会大学のヤン・ギホ教授(日本学)は今回の教科書改訂について「韓日関係には悪材料だ。韓日請求権協定が語られているが、日本は歴史や領土の問題について絶対に譲歩しないというメッセージを明確にしたようだ」と述べた。また、「独島も最初は『領土紛争があった』程度で出発したのに、今は韓国を不法国家として取り扱っている」と指摘した。
この問題に関し韓国政府は24日、外交部のキム・インチョル報道官名義の声明を発表した。声明は「日本政府が明白な歴史的事実の歪曲、矮小化、記述漏れを行い、不当な主張を記した中学校教科書を検定で通過させたことに対して強く抗議する」とし、「独島に対する日本のいかなる不当な主張にも断固として対応していくことを明らかにする」と述べた。外交部のチョ・セヨン第1次官は、冨田浩司在韓日本大使を外交部庁舍に呼び、強く抗議した。
教育部もハン・サンシン報道官名義の声明を出し「今回の検定を通過した教科書は、かつての日本の帝国主義侵略を美化し、その過程で行われた強制動員収奪や日本軍慰安婦などの戦争犯罪を意図的に矮小化・隠ぺいしている」と批判した。