故金学順(キム・ハクスン)さんの日本軍「慰安婦」被害事実を初めて報道した植村隆・元朝日新聞記者(現『週刊金曜日』社長)が、自分の記事を「捏造」だと攻撃した右翼の人物を相手に起こした訴訟で再び敗訴した。
札幌高等裁判所は6日、右翼の識者である桜井よしこ氏と桜井氏の文を載せた出版社3社が自分の名誉を毀損したとして植村氏が起こした損害賠償訴訟で、控訴棄却の判決を下した。裁判所は、植村氏が書いた慰安婦被害記事を捏造だと攻撃した桜井氏のコラムが植村氏の社会的評判を落としたのは正しいと認めた。だが、桜井氏のコラムの前提となった事実の真実性については、桜井氏が真実だと信じるだけの“相当の”理由があると判断した。また、桜井氏の文の目的に公益性が認められると判決を下した。
これに先立ち、植村氏は2015年に桜井氏と桜井氏のコラムを載せた出版社に対して謝罪広告と損害賠償を要求する訴訟を札幌地裁に起こした。2018年11月、札幌地裁は原告敗訴の判決を下した。今回の二審判決も、一審判決の主要な内容に従った。
桜井氏が植村氏の慰安婦被害記事を捏造だと攻撃した主な理由は、植村氏が朝日新聞記者時代の1991年に報道した記事で、慰安婦被害者が「挺身隊として連行された」と書いたということだ。1990年代には慰安婦被害が詳しく知らされておらず、多くのメディアや運動団体でも二つの用語を混用したという事実について桜井氏は意図的に目をつむった。
植村を応援するため、韓国では「植村隆を考える会」が作られている。今回の判決の際に、イム・ジェギョン前ハンギョレ副社長、イ・ブヨン前議員を含めた会員たちが、植村氏を支援するために裁判に出席した。植村氏は判決後に開かれた記者会見で「不当な判決で絶対に容認できない。正義を実現するためにこれからも努力する」と述べた。