米国のドナルド・トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)加盟国に防衛費分担金の増額を迫り、貿易問題と関連付ける可能性までほのめかした。
トランプ大統領は4日、北大西洋条約機構加盟国の中で「国内総生産(GDP)比2%の防衛費支出」の約束を守っている8カ国の代表との昼食会で、「(他の加盟国がこの約束を履行しないならば)我々は貿易で彼らに対応するつもり」だとし、「彼らは結局は金を出すことになるだろう」と述べた。これは、この日の昼食会に出席したルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領がNATO加盟国の防衛費分担の重要性を強調しつつ、「我々の仲間の諸国は我々の先例に従うと考えている」と述べたことに対する回答だった。防衛費分担金をきちんと支払わない国には関税などの「報復」を加え、それに相応する金額を受け取るという脅しとみられる。
トランプ大統領は就任後、同盟国の「安保無賃乗車論」を主張し続け、NATO加盟国に防衛費支出増額を迫ってきた。NATO加盟国は2014年の首脳会議で国防予算を2024年までに各国の国内総生産の2%へ引き上げることで合意したが、このような要件を満たしている国は29の加盟国のうち、米国をはじめ、英国、ブルガリア、エストニア、ギリシャ、ラトビア、ポーランド、リトアニア、ルーマニアの9カ国だけだ。同日、トランプが「2%支出」を守っている8カ国だけを呼んで昼食を「もてなした」ことも、残りの国家に防衛費支出の増額を迫ろうとするものと映る。彼はこの席で「皆さん全員を満足させるため、(就任以来)軍に2兆5千億ドルを投資してきた」と恩着せがましく述べるとともに「不幸にも多くの国が目標値(2%)に至らなかった」と嫌味を言った。
トランプ大統領は前日のカナダのジャスティン・トルドー首相との会談でも「国内総生産の1%やそれ以下しか防衛費を出さない『不履行』国家は容認できない」と明らかにしている。トルドー首相が10月の選挙で再任されて初めて行われたこの日の単独会談で、トランプは「カナダの支出割合はどのくらいだ」と質問し、防衛費分担金の増額を迫ってもいる。トルドーが即答せず、今後10年間で国防費の支出を70%程度増やすと2017年に発表していると遠まわしに答えると、トランプは「知っているが、数値はいくらか」と再度尋ねたと『カナディアン・プレス』は伝えた。トランプは「1.4%」(実際には1.31%)というトルドーの説明を聞いて、「ほんの少し不履行」と評価し、その後、記者団に「カナダの経済状況は良いだけに、早期に(目標値2%に)到達するだろう。その方が彼らにもいい」と述べた。