日本のある映画祭で日本軍慰安婦被害を扱ったドキュメンタリー映画の上映の見合わせが発表され、他の参加者が自分の作品も外せと批判に立ち上がった。愛知県が国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」で『平和の少女像』の展示を安全上の懸念があるとして中止した時と同様のことが再び起きている。
「KAWASAKIしんゆり映画祭」事務局は27日、この映画祭で上映される予定だったドキュメンタリー映画『主戦場』上映を見合わせると発表した。KAWASAKIしんゆり映画祭は神奈川県川崎市で開催される小規模映画祭で、川崎市が予算の半分近くの600万円(約6458万ウォン)を負担する。同事務局は「共催の川崎市が懸念を表明した」とし「上映時に起こる不測の事態を想定し、上映を見送らざるを得なかった」と発表した。これに『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』などの映画を出品した若松プロダクションが自分たちの作品上映を取り消すと28日明らかにした。あいちトリエンナーレが平和の少女像の展示を中止した際に、他の作家たちがこの芸術祭への出品を取り消したことに似ている。
『主戦場』は、日系米国人ミキ・デザキが作った映画で、慰安婦被害について、進歩的知識人・活動家たちと日本の右派の主張を一緒に見せる形式を取ったドキュメンタリーだ。今年4月に日本で公開された際、かなりの話題を集め、一般劇場でも上映された。映画に登場する日本の右派の一部が商業映画であることを知らずにインタビューに応じたとして、6月に映画の上映中止を求める訴訟を監督と配給会社を相手に起こしてもいる。これに対しデザキ監督は、出演者から合意書を得ており、合意書にはドキュメンタリー映画と書かれていると反論した。川崎市はこの訴訟を理由に、映画祭事務局側に上映中止を事実上要求した。
『主戦場』上映見合わせを批判した若松プロダクションは声明文の中で、川崎市の『主戦場』上映に対する懸念表明は「明らかに公権力による検閲」だと指摘した。また、映画祭側が電話抗議への憂慮と観客の安全確保の困難を上映見合わせの理由として挙げていることに対しても、「過剰な忖度により、表現の自由を殺す行為」と批判した。若松プロダクションは、今回の事態が『平和の少女像』を含む「表現の不自由展・その後」の中止の延長線上にあるとも指摘した。