安倍晋三首相がドナルド・トランプ米大統領に米国産とうもろこしの購買を約束したことに対して論議が絶えない。安倍政権は、日本のとうもろこし病虫害被害のために購入すると言ったが、日本の現実に合わない話であるためだ。
問題の発端は、先月25日にフランスのビアリッツで開かれた米日首脳会談だった。トランプ大統領は当時「安倍首相は米国各地で残ったとうもろこしを購入することに同意した。中国が自分たちが約束したこと(とうもろこしの購買)をしなかった。そして、安倍首相がそのとうもろこしを全量買うことにした」と自慢した。安倍政権は「害虫(被害)対策の観点で私たちも買う必要がある。政府ではなく民間が買う」と話した。
しかし、日本経済新聞は6日、日本の飼料業界が米国産とうもろこしの輸入に困惑していると伝えた。なぜなら、米国産のとうもろこしは主に日本で飼料として使われるが、害虫被害を受けた日本産のとうもろこしとは用途が違うためだ。飼料用とうもろこしは、大きく二種類に分かれる。第一の種類は炭水化物と蛋白質供給などの用途で実だけを使う。日本は炭水化物供給用のとうもろこしを年間1100万トンほど輸入しているが、ほとんどは米国産だ。残りの種類である飼料用とうもろこしは、繊維質供給用で完全に熟す前のとうもろこしの実と葉を発効させて使う。年間450万トンを使うが、日本産のとうもろこしが主に使われる。
先月NHK放送は、日本政府関係者の話を引用して、米国産とうもろこし輸入量の3カ月分に相当する250万トンを買う予定だと伝えた。本来輸入する予定のとうもろこしをあらかじめ操り上げて購入する方式になると見られるが、すぐには需要のない物量を業者が操り上げて購入すれば保管費用が増えるだけだ。このため、日本政府は飼料業者が米国産のとうもろこしを操り上げて輸入すれば、保管費用を補助するという方針まで明らかにしている。
日本経済新聞は価格面で見ても、米国産とうもろこしを操り上げ輸入する必要はないという点も指摘した。日本が米国産と共に輸入するブラジル産のとうもろこしが豊作のうえに、ブラジルレアルの価値下落で安いためだ。輸入価格で見れば、ブラジル産が米国産より1トン当たり10ドル程度安い。飼料関連大企業の関係者は同紙に「当分必要な量はブラジル産で調達した」とし、「実需要がなければ、飼料製造業者も(米国産とうもろこしの)調達に乗り出すことはできない。行く所もない米国産とうもろこしを操り上げ輸入することができるのか」と話した。