米議会が世界最大の通信装備企業である中国華為(HUAWEI)に対する制裁強化を骨格とする法案を発議した。上・下両院が同時に発議に動いたうえに、民主・共和両党の議員が超党派的に参加した。立法化につながる場合、交渉再開を控えた米中貿易紛争に悪材料として作用する展望だ。
17日、ロイター通信などの外信報道を総合すれば、米議会の民主・共和両党議員が超党派的に参加した「米国5世代移動通信未来保護法案」が16日、上・下両院で発議された。ドナルド・トランプ大統領の行政命令と商務省の行政措置により賦課された華為に対する制裁を、今度は法制化することが骨格だ。
具体的には、米議会は5月15日、華為を「取引制限企業」に指定した措置を議会の事前承認なしでは再解除できないよう発議した。また、商務省が華為に対して部品・サービスを供給できるよう承認した企業に対しても、議会が承認を取り消せるようにした。議会が華為に対する“封鎖権限”を持つという意味だ。
これに先立ってトランプ大統領は、米国の情報通信網に対する脅威を理由に「国家非常事態」を宣言し、安保を脅かす可能性のある企業が生産した通信装備を米国企業が使用できないようにした。トランプ大統領は、行政命令で特定国家または企業を明示しなかったものの、明らかに華為を筆頭とする中国企業を狙ったものだ。
米商務省も同日、華為と70社の協力企業を「取引制限企業」リストに上げた。名簿に上がった企業が米国産の部品やサービスを輸入するには、米国当局の承認を受けなければならない。当時商務省は「この間に入手した情報に基づき、華為が米国の安保と外交政策に反することに加担しているという判断に伴う措置」と明らかにしている。これに伴い、インテル・クアルコム・マイクロンなど米国の半導体企業はもちろん、グーグル・マイクロソフトなどのソフトウェア企業までが相次いで華為に対する部品・サービスの追加供給中止を宣言した。
だが、先月29日、日本の大阪で開かれた米中首脳会談で、両国が貿易交渉を再開することで合意し、状況が変わるかのように見えた。トランプ大統領は、首脳会談の直後「米国の企業が華為に対して部品やサービスの供給を再開できるだろう」と明らかにした。さらに米商務省も先週、国家安保に脅威がない商品を前提に近い将来米国企業の華為に対する輸出再開を承認すると明らかにしている。
しかし、ワシントンの政界では、トランプ行政府が華為に対する制裁を一部緩和しようとする姿勢を取るや、明らかな反発気流が形成された。貿易交渉妥結のために「国家安保」を取引の対象としてはならないという主張だ。米議会が華為制裁を立法化するとして急いで動き出したのもこうした脈絡からだ。法案を共同発議したクリス・ホーレン民主党上院議員は「中国の通信企業によって直面した国家安保の脅威に対処する最善の方法は、明確な線を定めて中国のいかなる要求にも退かないこと」だとし、「米国の企業が華為と取引することを禁止することにより、トランプ大統領が正当な安保の懸念を取引の対象にできないよう明確なメッセージを与えることができるだろう」と強調した。