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[ニュース分析]G20控え出した“北朝鮮カード”…朝鮮半島情勢に変化訪れるか

登録:2019-06-18 06:16 修正:2019-06-18 07:44
■中国の最高指導者が14年ぶり訪朝する理由とは? 
 
今月末にトランプとの談判を控え 
米中貿易戦争めぐる協力を模索するための“決断” 
 
習主席、「今が介入すべき時期」と判断し 
朝鮮半島の平和に向けた交渉舞台の全面に登場 
 
大統領府「先週から動向を把握して注視していた」 
第4回南北会談の可能性も高まる見込み
習近平中国国家主席//ハンギョレ新聞社

 中国の習近平国家主席の電撃的な平壌(ピョンヤン)訪問は、昨年初めから本格化した朝鮮半島の平和プロセスで一歩後退していた中国が、舞台の前面に出る決断を下したことを意味する。ハノイでの朝米首脳会談以降、膠着局面から抜け出せずにいる朝鮮半島情勢に重大な変化の発端になる見通しだ。

 20~21日に平壌で開かれる朝中首脳会談は、当然両国の合意によるものだが、習近平主席の決断が決定的な要因といえる。習主席の訪朝は、昨年3月以降、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が4回の訪中で習主席の訪朝を要請したにもかかわらず、これまで実現しなかった。習主席が2012年末に共産党総書記を務めて最高指導者になってから6年半がたっての訪朝であり、中国最高指導者としては2005年の胡錦涛総書記以来およそ14年ぶりの訪朝だ。

 習主席がなぜこの時点で訪朝を決断したのかは、様々な側面から考える必要がある。まず「銃声なき戦争」を彷彿とさせる貿易・先端技術をめぐる米中の対立が主な要因と考えられる。28~29日、日本の大阪で行われる主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、ドナルド・トランプ米大統領との談判を控えた習主席が、“北朝鮮カード”を活用することにしたという意味だが、“対決”よりは“協力”の模索に焦点を合わせた決断と言える。習主席としては、トランプ大統領との談判過程で「中国は米国の協力パートナー」であることを強調し、緊張と対立を緩和する良い協議材料として、金正恩委員長との首脳会談を活用することができる。習主席の平壌滞在日程が、中国の最高指導者の訪朝日程としては朝中関係70年史に前例のない1泊2日の“超短期”である事実は、今回の訪朝に社会主義圏特有の党対党の“親善外交”よりも、“情勢的考慮”が優先的に働いたことを裏付ける。

 また、習主席の訪朝決定は、まさに今が「中国が介入すべき時」だと判断したという意味でもある。習主席の中国は、トランプ大統領など米国側が昨年から「中国の役割」を掲げて持続的に圧迫したにも関わらず、朝鮮半島問題について消極的だった。むしろ「天の時、地の利、人の和」を掲げ、「時が熟すのを待つべき」という態度を堅持してきた。習主席は平壌で金委員長と交わした話をG20首脳会議の機会に二者会談を通じて文在寅(ムン・ジェイン)大統領に伝え、今後の対策を協議する見通しだ。大統領府は「G20首脳会議の前後に習近平主席の訪韓計画はない」と断定的に発表した。

 習主席だけでなく、金正恩委員長の思惑もまた重要だ。 金委員長が6・12シンガポール共同声明から1周年を機にトランプ大統領に親書を送り、記念切手を発売したのは、「習主席訪朝」の要因が働いたようだ。さらに、金委員長執権後、4回の朝中首脳会談の前後の事情を振り返ってみる必要がある。 昨年6・12第1回朝米首脳会談の前後に2回目の訪中(2018年5月7~8日、大連)と3回目の訪中(6月19~20日、北京)があり、今年2月にハノイでの第2回朝米首脳会談を控えて4回目の訪中(1月7~10日、北京)が行われた。 さらに、文大統領との初の南北首脳会談(2018年4月27日)を控えて1回目の訪中(2018年3月25~28日、北京)が、文大統領との第2回南北首脳会談(2018年5月26日、板門店統一閣)を控えて2回目の訪中が行われた。

 このような前例からして、金委員長と習主席の第5回朝中首脳会談は、3回目の朝米首脳会談まではいかなくても、文大統領と金委員長の第4回南北首脳会談への呼び水になる可能性が高い。文大統領が先週、ノルウェーとスウェーデンで「金委員長の決断にかかった問題」だとし、第4回南北首脳会談の可能性を残した背景には、習主席の訪朝という“非公開の要因”が働いたものと見られる。

 実際、コ・ミンジョン大統領府報道官は17日夜、「政府は先週から習主席の北朝鮮訪問の推進動向を把握し、注視してきた」と明らかにした。コ報道官は「政府は、習主席の北朝鮮訪問が朝鮮半島問題の平和的解決に寄与するとみて、これを早期実現するため、中国政府と緊密に協議してきた」とし、「今回の訪問が朝鮮半島の完全な非核化に向けた交渉の早期再開と、これを通じた朝鮮半島の恒久的平和定着に寄与することを望んでいる」と強調した。政府がすでに習主席の平壌行きを知っており、このような変化が情勢に肯定的に作用することを期待しているということだ。これと関連し、政府高官は「習主席の訪朝は肯定的な変化要因」だとし、「それだけ南北首脳会談の可能性も高まったといえる」と述べた。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/898276.html韓国語原文入力:2019-06-17 22:28
訳H.J

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