ドナルド・トランプ米大統領が、中国に対し大規模追加関税の賦課を予告した。中国側では8日に予定された第11次ハイレベル貿易交渉の延期または、取消説が出ている。貿易戦争再開の可能性に、中国の証券市場など世界金融市場が暴落傾向を見せた。
トランプ大統領は5日(現地時間)、ツイッターで「過去10カ月間、中国は500億ドル規模の先端製品に25%、2千億ドル規模の他の製品に10%の関税を払った。その10%が金曜日(10日)には25%に上がるだろう」と明らかにした。また「これまで免税だった(残りの)3250億ドル分の中国製品にも、25%をまもなく賦課する」と述べた。彼は2月に交渉が相当な進展を成し遂げたとし、3月1日に予定していた追加関税賦課を先送りしていた。
昨年12月1日、トランプ大統領と習近平・中国国家主席が貿易戦争の休戦に合意した後、両国は10回にかけてハイレベル交渉で異見を狭め、妥結が差し迫ったという観測が出ていた。先週にも、ホワイトハウス側では今週の合意が可能で、米中首脳会談を6月中に開き合意案を推進する方案を検討中と明らかにした。
ロイター通信は「第10次交渉で中国が既に約束した一部の事項から手を引く態度を見せたというロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表の報告を受けたトランプ大統領が、追加関税賦課カードを取り出した」と伝えた。トランプ大統領はツイッターで「交渉は続いているが、速度があまりに遅い。中国が再協議を試みるためだが、これ以上は待てない」と主張した。
米国のマスコミは、自国の交渉団は農産物などに対する中国市場の開放の幅と知的財産権の保護強化をより強く要求していると伝えた。一方、中国は合意が発効されると同時に米国が報復関税を取り消さなければならず、合意文に中国の不公正慣行を認める文面を盛り込むことはできないとして対抗していると伝えられた。
中国は当惑している。中国外交部の耿爽報道官は6日「10回の交渉で肯定的進展を成し遂げ、これは中国のみならず米国と国際社会にも役立つことだ」とし「相互尊重に基づいて米中が協力することを期待する」と述べた。彼は「ハイレベル交渉が予定通り開かれるか」という質問には「中国の交渉チームは、出国を準備中」とだけ答えた。香港のサウスチャイナモーニングポストは、消息筋の話を引用し、劉鶴副首相が予定より3日遅い9日に出国するか、訪米を完全に取り消す案も検討中と伝えた。ウォールストリートジャーナルは、匿名の中国官僚が「中国は頭に銃が突きつけられた状態では交渉しない」と話したと伝えた。
世界の金融市場は揺れ動いた。中国の上海総合指数は5.58%、深セン成分指数は7.56%暴落し、中国元貨は1%以上下落し2015年1月以来最大の下落幅を見せた。6日午前(現地時間)、欧州の主要株価指数も2%ほど下落し、米国の株価指数先物は1.7%ほど下落した。
実際に“関税爆弾”がさく烈するかは、トランプ大統領の真の意図、および中国の対応にかかっている。今のところは圧迫用カードという解釈が多い。ラリー・クドロー・ホワイトハウス国家経済委員長は5日、FOXニュースに出演し「トランプ大統領は、中国が交渉で合意しなければいつでも関税を賦課できると警告したと見られる」と話した。