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「トランプが撤回指示したのは、前日財務省が発表した対北朝鮮制裁」

登録:2019-03-28 01:04 修正:2019-03-28 07:31
ブルームバーグ、政府関係者の話として報道 
「トランプ大統領、実際21日に発表された中国海運会社制裁を撤回しようとした 
政府高官が大統領を説得し、『今後の追加制裁はないという意味』と収拾」 
関係者「準備していた追加制裁もなかった」 
米政府内の足並みの乱れとトランプ大統領の即興性を露呈
ドナルド・トランプ米大統領が22日午後(現地時間)、財務省が発表した対北朝鮮制裁を撤回することを指示したと明らかにしたツイート内容=トランプ大統領のツイッター画面よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が22日(現地時間)、ツイッターで「撤回を指示した」と明らかにした北朝鮮関連制裁は、“今後のこと”ではなく、前日に財務省が発表したものだったという報道が出た。トランプ大統領が財務省の制裁を取り消そうとしているのを、政府高官がやっと説得して阻止し、マスコミには“ごまかしの釈明”をして収拾したというのだ。

 「ブルームバーグ」通信は26日(現地時間)、米当局の説明とは異なり、トランプ大統領が、財務省が21日に北朝鮮の制裁回避を手助けしたと疑われる中国海運会社2社を制裁対象に指名したことを覆そうとしたと、この事案に詳しい5人の関係者の話を引用して報道した。

 トランプ大統領は22日午後、ツイッターに「北朝鮮に対する従来の制裁に大規模な制裁を加えると、今日財務省が発表した」とし、「私は今日このような追加制裁の撤回を指示した」と明らかにした。このツイートをめぐり波紋が広がったことを受け、米政府関係者はマスコミに「トランプ大統領のツイートは昨日の発表を取り消すものではなく、現在準備している追加制裁を行わないという意味」だと説明した。

 ブルームバーグ通信は、政府官僚のこうした発言が、トランプ大統領に意思を変えるよう説得した後で状況を収拾するために作り出した「ごまかしの説明」(misleading explanation)だと指摘した。同通信が報じた(制裁撤回発言が出るまでの)顛末は以下のようだ。

 トランプ大統領は、財務省の対北朝鮮発表前に具体的な措置について承認せず、適切だと見られる一部の制裁を決定できるよう、財務省に裁量権を与えたという。21日の財務省の制裁発表前に、ホワイトハウス国家安保会議(NSC)でこれについて議論が行われた。当時、ホワイトハウスのミック・マルバ二ー大統領首席補佐官代行の国家安保参謀であるロバート・ブレア氏は、大統領が今回の制裁発表を支持しないかもしれないと警告した。しかし、北朝鮮に対しスーパータカ派のボルトン国家安保補佐官は、これに同意せず、自分の方がトランプ大統領をよく知っていると主張したと、2人の関係者が伝えた。21日、財務省が制裁を発表した直後、ボルトン補佐官はツイッターに「今日財務省が重要な行動をした」として、積極的に歓迎した。

 ブルームバーグ通信は、翌日の22日午後、トランプ大統領がツイッターに「追加制裁の撤回を指示した」という書き込みを掲載することになった経緯や、その直後にトランプ大統領と参謀たちが行った具体的な“後始末”の議論過程については明らかにしなかった。同通信は、慌てた政府高官らが「中国海運会社2社に対する制裁は覆されておらず、米国は今後、北朝鮮に追加制裁を追求しない」という内容の声明を出す案を模索したと報じた。また、当時の政府関係者がマスコミに説明した内容とは異なり、21日に財務省が発表した制裁のほかに、米政府が準備している追加の対北朝鮮制裁はなかったと、2人の関係者を引用して報じた。

 21~22日に対北朝鮮制裁をめぐり露呈した米行政府内部の足並みの乱れは、トランプ大統領の意中を看過した強硬派の対北朝鮮制裁の推進▽トランプ大統領の即興的“撤回”ツイート▽トランプ大統領に対する行政府高官らの説得とマスコミに対する“偽りの釈明”が重なった結果だったのだ。

 ブルームバーグ通信の報道が事実なら、トランプ大統領が北朝鮮を刺激することを望んでいない事実が、再び確認されたわけだ。米政府内にトランプ大統領とタカ派の対北朝鮮アプローチの違いが存在するという点も再確認された。この過程で、強硬派のボルトン補佐官は、トランプ大統領に恥をかかされた格好になった。ホワイトハウスの参謀や政府高官まで当惑させるトランプ大統領の即興性と予測不可能性も、改めて明るみに出た。

 国務省のロバート・パラディーノ副報道官は同日の定例記者会見で、記者団の質問に対し、21日に発表された財務省の制裁はそのまま維持されると答えた。また「我々の立場は変わっていない」とし、「北朝鮮が追求する安全と発展を達成するための唯一の方法は、大量破壊兵器(WMD)と運搬手段を捨てることだという点を強調するため、国際社会は国連安全保障理事会(対北朝鮮制裁)の決議を引き続き履行する」と述べた。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/887559.html韓国語原文入力:2019-03-27 10:44
訳H.J

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