文在寅(ムン・ジェイン)大統領が年頭記者会見で強制徴用被害問題と関連して、日本政府の態度を批判したことに対し、日本政府は「韓国側が責任を転嫁しようとしている」と反発した。
菅義偉官房長官は11日の定例記者会見で「(1965年)日韓請求権協定は、司法府を含めた(協定締結)当事国全体を拘束するものだ。昨年の韓国最高裁の(強制徴用被害損害賠償)判決が確定した時点で、韓国側により協定違反の状態が作りだされた。この違反状態を見直すべく責任を負うのも当然のことながら韓国側にある」と主張した。さらに「にもかかわらず、韓国政府が現在に至るまで、具体的な措置を取らず、原告らが(日本企業の韓国内資産の)差し押さえの動きを進めている点は非常に深刻だ。文大統領の発言は韓国側の責任を日本側に転嫁しようとするものであり、極めて遺憾だ」と述べた。
これに先立ち文大統領は10日、年頭記者会見で「政府が司法府の判決に関与することはできない。政府は司法府の判決を尊重すべきだ」としたうえで、「これ(強制徴用被害損害賠償問題)は韓国政府が作り出した問題ではない。日本政府が謙虚な立場を持つべきだと思う」と述べた。菅官房長官は韓日請求権協定に基づく紛争調停手続きと規定された「外交上の経路を通じた解決」案として、両国間の協議を申請するほか、いかなる対応策を講じるかについては、具体的に言及しなかった。
日本のマスコミも文大統領の年頭記者会見の内容に対して否定的な報道を行った。読売新聞は11日付で、「文氏は(最高裁)判決を言い訳にするな」という題名の社説で、「韓国の歴代政権も、元徴用工(強制徴用被害者に対して日本メディアが使う言葉)の請求権も(1965年韓日請求権)協定対象に含まれると認めてきた。韓国最高裁がこうした経緯を無視した」と指摘した。同社説はさらに「韓国が(日本が要請した)協議に応じない場合は、国際司法裁判所(ICJへの)提訴も検討せざるを得ない」と書いた。