北朝鮮のリ・ヨンホ外相が中国を訪問し、習近平国家主席と王毅外交部長と相次いで面会し、非核化の意志を再確認した。今月1日の米中首脳会談をきっかけに“調整者”の役割を任された中国が、膠着状態に陥った朝米間の非核化交渉にいかなる変化を引き出すかに注目が集まっている。
リ外務相は訪中2日目の7日午後、北京人民大会堂で習主席を表敬訪問した。習主席はこの場で「今年以降、朝鮮半島情勢には肯定的な変化が現れており、半島問題は政治的解決の正確な軌道に戻った。朝米双方が互いに向かい合い、互いの合理的な憂慮に気を配ると共に、(朝鮮)半島の和解対話プロセスが地道に肯定的な進展を成し遂げていくことを願っている」と述べた。習主席はさらに、「北南双方が関係を改善し、和解・協力を推進することを支持する。両国の外交部門は引き続き疎通を強化し、朝中関係の発展と半島問題の政治的解決プロセスのため、ともに努力しなければならない」と述べた。これに対し、リ外務相は「朝鮮は引き続き半島の非核実現に力をつくすと共に、半島および地域の平和・安定のため、中国と密接な疎通・協調を維持する」と述べた。
習主席が朝米双方の「合理的な憂慮」を言及し、「朝鮮半島の非核化」に向けた朝米交渉の仲裁役割に乗り出す一方、北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」に向けた意志を再確認した点が注目される。これに先立ち、ドナルド・トランプ米大統領は1日、習主席と会談した後、北朝鮮の核問題について中国が「100%協力することで合意した」と明らかにした。
中国を訪問した北朝鮮の外務相が中国最高指導者を訪問したのは異例のことだ。2006年5月にペク・ナムスン外務相が温家宝首相と、2008年4月にパク・ウィチュン外務相が当時習近平国家副主席(序列6位)とそれぞれ面会するにとどまった。朝米間の非核化交渉が重要な岐路に入る状況で、朝中間の意思疎通と協力を強化しようという試みと見られる。王毅外交部長が今年5月に北朝鮮を訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会談したため、リ外務相も習主席を表敬訪問することでバランスを取ったという分析もある。
リ外相は同日午前、釣魚台国賓館で王部長と会談し、昼食をともにした。中国外交部の発表によると、リ外務相は「(朝鮮半島の)非核化の実現に力を尽くし、半島の平和・安定を保護するという北朝鮮の立場に変わりはない」としたうえで、南北和解および朝米首脳会談などを例に挙げ、「朝鮮は平和的な外部環境づくりに積極的に努力している」と述べた。これに対し、王部長は「朝中双方は(朝鮮)半島情勢が非核化の大きな方向へと積極的に発展するよう、引き続き推進しなければならない」と答えた。
発表文では言及されなかったが、リ外務相は今回の訪中で、1日の米中首脳会談の結果に対する中国の説明を聞いたものと見られる。また、朝中間の主要懸案である第2回朝米首脳会談▽金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のソウル答礼訪問▽習主席の初の北朝鮮訪問などについて意見を交わしたものと予想される。
朝中外相は同日、来年の国交正常化70周年行事を共同開催することで合意した。来年、朝中国交樹立70周年を機に、習主席の訪朝などが実現されるかどうかに関心が集まっている。リ外務相は訪中の初日の6日夕方、北京市内の有名な伝統茶店「老舎茶館」を訪れ、公演を観覧した。8日には北京を出発し、モンゴルを訪問する予定だという。