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河野外相「個人請求権は存在」告白…もつれた日本政府の論理

登録:2018-11-16 22:46 修正:2018-11-17 06:54
「韓日協定で完全解決」主張したが 
追及受けるや「請求権は存在する」告白 
「しかし賠償判決は受け容れられない」詭弁 
「国際常識に反する」という指摘が多い
河野太郎日本外相=資料写真//ハンギョレ新聞社

 河野太郎外相が、強制徴用被害者に個人請求権があると認めた。日本の閣僚が先月30日、韓国最高裁(大法院)の損害賠償請求事件の判決以後、個人請求権が存在すると発言したのは今回が初めてだ。

 14日、穀田恵二・日本共産党議員が衆議院外務委員会で日本政府も個人請求権の存在を認めて来たのではないかと尋ねると、河野外相は「個人請求権が消滅したと申し上げるわけではございません」と答えたことが、16日に一歩遅れて確認された。

 穀田議員は三上正裕・外務省国際法局長に、韓国の判決で原告が要求したのは未払い賃金の請求ではなく、植民支配と侵略戦争に直結した強制動員への慰謝料だとしていると指摘した。穀田議員は、1992年当時、柳井俊二・外務省条約局長が「(韓日協約により消滅した韓国人の『財産、権利及び利益』の中に「いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない」と話した点も指摘した。彼は「慰謝料請求権は消滅していないということではないか」と問い詰めた。三上局長は「柳井局長の答弁を否定するつもりはない。権利自体は消滅していない」と答えた。

 しかし、日本政府が個人請求権を認めるということは、その意味が何度も変わり、今は「個人請求権はあるが裁判を通じて権利を行使することはできない」ということに整理された。河野外相はこの日の答弁で「韓日協定で日韓間の請求権問題は完全かつ最終的に解決された」という既存の主張も繰り返した。三上局長は「(韓日協定の意味は)請求権はあっても、法廷に行って救済を受けることはできないと約束したこと」と答えた。

 このように日本政府の個人請求権に対する“解釈”が矛盾し言葉遊びに近づいたのは、過去に自国民の被害と関連して出した立場が困難に陥るためだ。日本は、1952年にサンフランシスコ講和条約を通じて連合国に対する賠償請求権を放棄した。すると原爆被害者が、日本政府が請求権を放棄したせいで救済を受けられなくなったとし、損害賠償請求訴訟を起こした。日本政府は、個人請求権自体は消滅していないので日本政府が賠償することではないとし、責任を回避した。また、講和条約で放棄したのは個人請求権でなく、自国民の被害に対して国家が請求できる「外交的保護権」だけだと説明した。

 日本政府としては、自国民にこうした立場を明確にした状況であるために、韓国人に対しても韓日協定を理由に個人請求権が消滅したとは主張し難くなった。こうした状況で、中国人と韓国人の被害者が訴訟を起こすと、日本の裁判所は苦しい論理まで作り出した。日本の最高裁判所は、中国人が出した訴訟に対して、2007年に請求権を否定はしなかった。しかし、個別的民事訴訟を通した権利の行使は、平和条約などが「予測しがたかった過度な負担」という理由で棄却判決を下した。権利は認めるが、それにともなう賠償判決はできないという詭弁で、日本政府の現在の立場の根拠になった。

 日本共産党の機関紙「赤旗」は、河野外相らの衆議院答弁で「韓国最高裁(大法院)判決について『韓日協定に明らかに反する』という安倍政権の主張が根本から揺らいだ」と指摘した。多くの専門家たちは、日本政府の「裁判上の請求はできないという主張」に対しても国際的常識に反すると指摘している。戦後補償関連専門家の山本晴太弁護士は「韓日協定により個人請求権はあっても裁判上の請求は受け入れられないという(日本政府と)日本最高裁判所の判決が国際法の常識に外れている」と指摘した。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/870597.html韓国語原文入力:2018-11-16 19:21
訳J.S

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