本文に移動

[ニュース分析]ボール渡された米国が慎重な反応示す理由とは

登録:2018-09-08 06:32 修正:2018-09-08 07:54
具体的な評価避け、淡々とした反応 
ポンペオ長官「言及差し控えたい」 
ボルトン補佐官「韓米引き続き連絡」 
 
北朝鮮「相応の措置」を再度要求 
「核施設の公開-終戦宣言」めぐる膠着は変わらず 
専門家ら「ポンペオ長官が再び訪朝するには不十分」 
南北・韓米首脳会談の後、政策決定する見込み
金正恩-トランプ交渉スタイルの比較//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領の対北朝鮮特別使節団の5日の訪朝結果について、米国当局は具体的な評価を避け、淡々とした反応を示した。米国内の朝鮮半島専門家らは、北朝鮮が「トランプ大統領第1期目の任期(2021年1月)内に非核化」というタイムテーブルを提示し、ボールを米国に渡しただけに、今月18~20日の第3回南北首脳会談と今月末の韓米首脳会談が終わった後、米国の対北朝鮮政策方針が決定されると予測した。

 ワシントンのある外交消息筋は6日(現地時間)、米政府内の雰囲気が「悪くはないようだ」と評した。一応、トランプ大統領が6日、ツイッターを通じて「金委員長に感謝する。我々は共に(非核化を)成し遂げる」という肯定的なメッセージを送った。金委員長に対する親密感を示し、改めて対話への意志をアピールしたのだ。

 しかし、米国務省や他の高官たちは控えめな反応を示した。マイク・ポンペオ国務長官はインドで「北朝鮮と進めている議論については言及を差し控えたい」としたうえで、「やるべきことが山積している」と述べており、ジョン・ボルトン・ホワイトハウス国家安保補佐官も、チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長との通話会談の事実を明らかにしたうえで、「南北首脳会談と韓米首脳会談前に引き続き連絡することにした」と言及するにとどまった。国務省報道官室もハンギョレの取材に対し、「世界が注目する非核化は金正恩(キム・ジョンウン)委員長の約束だ。トランプ大統領と金委員長の約束が守られると確信している」とし、非核化を強調した。

 米政府が概ね慎重な反応を示した理由は、対北朝鮮特使団を通じて伝えられた北朝鮮のメッセージが複合的なものであるためとみられる。金委員長が非核化のタイムテーブルを提示したのは、非核化の意志をもう少し具体化したものであり、朝鮮半島の非核化の成果を再選につなげたいトランプ大統領の思惑とも符合する。また、金委員長が「終戦宣言は在韓米軍の撤退や韓米同盟の弱体化とは関係ない」と明らかにしたことも、米国の負担を減らす意味がある。

韓国の特使団が伝えた北朝鮮の金正恩国務委員長のメッセージについて「謝意」を表するドナルド・トランプ大統領の今月6日のツイッター//ハンギョレ新聞社

 しかし、米国が北朝鮮に核兵器・施設を申告することを要求してきたことに対し、金委員長は、豊渓里(プンゲリ)核実験場と東倉里(トンチャンリ)ミサイル試験発射場の廃棄などを言及し、米国に「相応の措置」(終戦宣言)を再度要求した。「核施設の公開」と「終戦宣言」が対立する“膠着構造”が崩れていないわけだ。

 米国内の朝鮮半島専門家らも、特使団の訪朝結果を総論では肯定的に評価しながらも、今後の朝米交渉の見通しについては慎重な意見を示した。ジョン・フェッファー米外交政策フォーカス所長は「南北はもちろん、朝米関係のモメンタムを維持することに成功したため、全般的に肯定的」だとしながらも、「トランプ大統領は11月の中間選挙前に対北朝鮮政策が成功的だということを立証して見せるため、ポンペオ長官の再訪朝を推進するだろう」と見通した。パク・ジョン・ブルッキングス研究所研究員は、金委員長がトランプ大統領に「変わらぬ信頼」を示したことに注目し、「金委員長が、トランプ大統領の国内状況のため機会の窓が閉じるかもしれないと見て、平和宣言に向けた魅力攻勢を強化しようとしている」と指摘した。

 フランク・オム米平和研究所上席研究員も「特使団の訪朝結果は鼓舞的かつ有用だ」と評価した。しかし、結果に核施設・物質の申告や生産の凍結などの非核化の主要措置が抜けた点を挙げ、「ポンペオ長官が再び北朝鮮を訪問するにはまだ不十分」だと話した。彼は「文在寅大統領が今月の南北首脳会談で、北朝鮮から大きな譲歩を引き出すことが重要だ。そうしてこそ、ポンペオ長官の4度目の訪朝と第2回朝米首脳会談が可能になる」と話した。

 スコット・スナイダー米外交協会主任研究員は「米国が北朝鮮の非核化に韓国の助けを求めているため、(北朝鮮が)非核化を南北対話の議題として認めたのは良い知らせ」だと述べ、韓米の非核化協力を強調した。彼は「対北朝鮮制裁の免除を求める韓国の要求が、北朝鮮の非核化の核心的テコ(制裁)を弱体化させないよう、韓米が緊密に協力しなければならない」と話した。

 このような状況を考慮すると、米国は、第3回南北首脳会談と国連総会での韓米首脳会談を通じて、北朝鮮の真意を確認してから、対北朝鮮交渉の方向を決めるものとみられる。金委員長とトランプ大統領の両方を説得し、決断を引き出さなければならない文大統領の役割がさらに重要になったわけだ。その前に先月末に取りやめになったポンペオ長官の4度目の訪朝が再開されるのは容易ではないというのが消息筋の大方の見解だ。

ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/861151.html韓国語原文入力:2018-09-07 21:02
訳H.J

関連記事