マレーシアの裁判所が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の異母兄弟の正男(ジョンナム)氏を殺害した容疑で起訴された女性たちに「よく計画された陰謀により組織的に殺害に加担したものと推定される」とし、最終弁論手続きを指示した。
マレーシアのシャー・アラム高等裁判所は16日、インドネシア人のシティ・アイシャ(26)とベトナム人のドアン・ティ・フオン(30)に最終弁論に出ることを指示する判決を下した。現地法の手続き上、弁論過程で被疑者が新しい反証を提示しなければ、事実上有罪が確定される。裁判は11月頃再開され、裁判所は彼らの最終弁論を反映して量刑を決めるものとみられる。
裁判を担当したアズミ・アリフィン判事は「裁判所に提出された証拠によると、二人の被疑者と四人の北朝鮮の容疑者の間でよく計画された陰謀により、組織的に金正男氏を殺害したことが推測できる」とし、「政治的な暗殺に二人の女性が)利用された可能性があるが、これを立証する確かな証拠もない」と指摘した。
AFP通信は、最終弁論判決を受けた女性たちはショックを受け涙を流したと伝えた。アイシャ側弁護人は「裁判所の最終弁論決定は残念だ」と述べながらも、「まだ有罪が決定されたのではない。十分に反論する自信がある」という立場を明らかにした。フオンの父であるドアン・バン・タアンは「無罪ではないという知らせがとても悲しい」としながらも、「娘が釈放されるように潔白を知らせる」と話した。インドネシアのルスディ・キラナ大使も、判決直後に記者団と会い、結果は衝撃的だが裁判部の決定を尊重すると述べた。
二人の女性は、昨年2月13日、マレーシア・クアラルンプール国際空港で金正男氏の顔に神経性猛毒物質であるVXを塗って殺害した疑いで起訴された。二人の女性は「どっきりカメラ」を撮るという北朝鮮人らに騙されて利用されたとして、無実を訴えてきた。実際にこの二人の女性にVXを渡したとされるリ・ジヒョン(34)、ホン・ソンハク(35)、リ・ジェナム(58)、オ・ジョンギル(56)など四人は、犯行直後に出国し北朝鮮に逃走したという。弁護人たちは、二人の女性が現地に残っていて警察に逮捕された点、金正男氏を殺害した当時身につけていたVXに汚染された衣類を洗濯・処分する証拠隠滅さえ試みなかったことなどを取り上げ、彼女らが金正男氏暗殺の過程で利用されたと主張してきた。
これに対してマレーシア検察は、VXが眼球を通じてもっとよく吸収されるという特性を考慮して金正男氏の目を意図的に狙った点と、犯行直後にトイレに行き手を洗った情況から、「彼らが失敗する余地がないほど訓練を受けており、暗殺に主導的に加担した」と主張した。
マレーシア刑法上、故意的殺人の場合、例外なく死刑を宣告するように規定しており、有罪が確定された場合、彼らが絞首刑に処される可能性がある。ただし、被告人らが控訴する場合、裁判が数年間さらに行われる場合がある。マレーシアでは死刑宣告が下される可能性のある犯罪については高等裁判所が一審を担当し、控訴裁判所、連邦裁判所を経て刑を確定する。