北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏毒殺事件をめぐり、北朝鮮と対立してきたマレーシア政府が、北朝鮮のカン・チョル大使を追放する超強硬措置を取った。両国関係が断交をも辞さないなど悪化の一途を辿る可能性もあると見られている。
アフマド・ザヒド・ハミディ・マレーシア副首相は5日、記者団にカン・チョル大使の追放は「事件を糊塗してはならないという意味を込めた、北朝鮮政府に対する極めて強力で明白なメッセージ」だと述べた。これに先立ち、マレーシア外務省は4日夜遅く、声明を発表し「カン大使を今日の午後6時まで外務省に召喚したが、北朝鮮大使館側から誰も現れなかった」と明らかにしたと、「ザ・スター」など地元マスコミが5日付で報じた。これを受け、マレーシア当局は同日夜9時30分に北朝鮮大使館に通知文を送り、カン・チョル大使を「外交的忌避人物」(ペルソナ・ノン・グラータ)に指定したとし、(召喚通知に応じなかった)4日午後6時から48時間以内にマレーシアから退去することを要求した。
マレーシアの外務省は声明で「先月28日、北朝鮮代表団と会談し、カン大使の発言に対する書面での謝罪を要求し、当日夜10時まで答弁がなければ相応の措置を取ると伝えたが、4日が経っても謝罪が行われていない」として、今回の措置の背景を説明した。これは事実上これからも“外交関係の断絶”など、北朝鮮に対する追加措置があり得ることを示唆したものだ。
カン大使は先月17日、金正男氏の遺体が安置されたクアラルンプールの総合病院に現れ、自分たちの反対にもかかわらず金正男氏の遺体の解剖を強行したマレーシア側を激しく非難し、遺体の引き渡しを要求した。また、先月20日には記者会見を自ら要望して、マレーシア警察が発表した捜査結果を信頼できないとし、北朝鮮黒幕説を強く否定した。これに対し、マレーシア政府はカン大使の警察捜査の非難など、問題発言に数回に渡って警告しており、ついに4日には外交的に断交寸前の超強硬措置である大使の追放を断行した。