米国防総省が、米軍遺骨発掘団を来春北朝鮮に派遣することを目標にしていると明らかにした。朝米両国は先月16日、板門店(パンムンジョム)で開催された将官級会談で米軍遺骨発掘作業の再開に合意していた。
自由アジア放送(RFA)は10日(現地時間)、戦争捕虜・行方不明者確認局(DPAA)のケリー・マッキーグ局長が「私たちが北朝鮮に戻ることができる最も早い時点は、2019年春」とし、「主な理由は北朝鮮の天候のためだ。来春を目標にしている」と話したと報道した。米国は1996年から2005年まで33回にかけて北朝鮮で米軍遺骨発掘作業をしたが、13年間にわたり活動を再開できずにいる。
米軍遺骨発掘にかかる費用と装備については、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁委で例外として認められるべきだと明らかにした。マッキーグ局長は「私たちが北朝鮮で(遺骨の発掘)活動を始め、関連費用を北朝鮮に償還するためには国連の対北朝鮮制裁の例外として認められなければならない」としながら「この問題は今後の対話と議論の一部分になるだろう」と述べた。
ドナルド・トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長は、6月12日のシンガポール首脳会談後に発表した共同声明で「米国と北朝鮮はすでに確認された遺骨の即刻送還を含め、戦争捕虜および失踪者の遺骨を発掘していくことを公約する」として合意した。これに伴い、停戦協定65周年をむかえた先月27日、北朝鮮は11年ぶりに米軍遺骨55柱を送還した。米国務省は最近まで北朝鮮がこれと関連して米国に金銭的要求をしておらず、米国が支払った費用もないと明らかにした。
北朝鮮が6・12シンガポール首脳会談以後、善意の措置として費用を要求しなかったと見られる一方、以後の遺骨発掘過程では人件費などの費用が議論になりうるという観測が多い。米国は過去の遺骨発掘過程で費用を支払ってきたが、米国議会調査局は2005年5月に出した報告書で、米国防総省が1993年から遺骨収拾のために北朝鮮に支給した金銭は2800万ドルと明らかにしたことがある。
マッキーグ局長はこの日、北朝鮮では米軍遺骨発掘関連予算が策定されていないとしながらも、議会と国防総省の指導部が必要な予算を用意するだろうと説明した。
こうした中で先月米軍遺骨送還の時、北朝鮮を訪問したジェニー・チン(韓国名チン・ジュヒョン)DPAA博士が、当時の状況を伝えて注目を集めている。チン博士は、自由アジア放送とのインタビューで、先月27日に元山を訪問した時「北朝鮮側が(遺骨の入った)箱55個を、とてもきれいにしっかり整理して準備していた」として「北朝鮮側がきわめて誠実に協力した」と伝えた。チン博士は「北朝鮮側では各遺骨箱毎に情報を提供した」とし、遺骨がいつどこで発見され、どんな遺品が入っているかなど詳細な目録を提供したと付け加えた。彼は「過去208個の箱の送還を受けた時の経験を見るならば、おそらく(遺体が発掘された)地理的位置はほとんど合っていると思うが、その他の情報はよく分からない」と話した。彼は今回の訪朝当時、北朝鮮側から遺骨発掘・送還関連費用についての言及はまったくなかったとも伝えた。
一方、チン博士は「以前に北朝鮮が動物の骨を送ったというニュースが何度も大きく報道されたが、北朝鮮は米国に動物の骨を送ったことは一度もない」とし「朝鮮戦争プロジェクトを9年担当しているが、その間に北朝鮮から来たすべての遺骨を改めて検証したところ、動物の骨は一つもなかった」とも話した。議論になった動物の骨は、過去に北朝鮮が英国に送還した英国軍遺骨箱に一部含まれていたことが分かった。
8月1日、米国のハワイにある米国防総省戦争捕虜・行方不明者確認局の研究室に移送された遺骨は、分析作業のためにひとまず基本的な資料入力過程を経た。遺骨に対する遺伝子採取作業も始まる予定だ。遺骨の身元は、早いものでは数カ月で確認可能だが、長いものでは数年かかることもありうる。朝鮮戦争行方不明者の場合、遺族の遺伝子試料が90%確保されている状態だ。