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「金委員長の特使」金英哲副委員長、トランプ大統領に“親書”手渡すか

登録:2018-05-30 03:54 修正:2018-05-30 07:16
ソン大使とキム副相の実務交渉中に訪米 
最高官級で核心議題を最終調整 
果敢な初期措置と相応措置について協議 
トランプ大統領との面会可能性に注目集まる 
米政府、対北朝鮮追加制裁を無期限延期 
トランプ大統領「首脳会談以上の交渉を進めている」
4月27日の南北首脳会談の際、北朝鮮の金正恩国務委員長の隣に同席した金英哲労働党副委員長//ハンギョレ新聞社

 金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長兼統一戦線部長が30日(現地時間)にニューヨークを訪問することが確認された中、マイク・ポンペオ米国務長官などと朝米首脳会談の議題をめぐる最終調整が成功するかどうかに関心が集まっている。会談の結果次第では、金副委員長がドナルド・トランプ大統領と面会する可能性もある。

 金副委員長の訪米は、ポンペオ長官の2度にわたる訪朝に対する答礼訪問の性格を帯びている。ポンペオ長官は、CIA長官時代の3月31日~4月1日と国務長官に就任直後の今月9日に北朝鮮を訪問し、金副委員長と朝米首脳会談について協議した。再び二人が接触する必要があるなら、今度は金副委員長が米国を訪問する番だったといえる。

 しかし、金副委員長の訪米はそれ自体で特別な意味がある。ビル・クリントン政権時代の2000年10月、趙明禄(チョ・ミョンロク)国防委員会副委員長が、金正日(キム・ジョンイル)総書記の特使として訪米して以来、初めて行われる北朝鮮最高官級の米国訪問だからだ。国連総会などの多国間会議を除き、米国政府は最近、北朝鮮関係者にビザを発給したことがない。

 金副委員長の訪米は、北朝鮮のチェ・ソ二外務副相の24日の談話により、首脳会談が軌道を離脱した時期を前後して進められたものと見られる。CNNは23日、「米政府が北朝鮮との高官級会談を推進している」とし、(米政府が)金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が核プログラムを放棄するという確約をもらうことを望んでいると報じた 。当時はポンペオ長官と金副委員長が第3国で会う可能性がささやかれたが、米国訪問という結論が出たわけだ。

 6月12日に予定された史上初の朝米首脳会談の核心議題は、北朝鮮の核の廃棄だ。米国は非核化の意志を確認できる「大胆な措置」を先に取ることを求めており、北朝鮮はそれに見合う見返りを引き出そうとしている。これは、ソン・キム駐フィリピン米国大使とチェ・ソニ副相の「板門店会談」ではなかなか最終的な結論を下せない問題だ。実際、板門店会談では、これと言った進展が見られなかったという。

 これによって「チェ・ソニ-ソン・キム」より格上の「金英哲-ポンペオ」を通じて、再び意見調整が試みられるものとみられる。ポンペオ長官は、完成した核弾頭の搬出や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄のような果敢かつ迅速な初期措置を再び要求するものと予想される。それに見合う措置を求める北朝鮮の要求をいかに折衷するかが、首脳会談の運命を分けるものと見られる。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員は、金副委員長の訪米に対して「(朝米が)非核化や体制保証と関連し、重要な部分で意見の相違があったため、(金副委員長が米国に)行った可能性がある」と指摘した。

2000年10月10日、米ワシントンのホワイトハウスでビル・クリントン大統領を面会した趙明禄北朝鮮国防委員会副委員長。趙副委員長は、当時の米国訪問を通じて、朝米が敵対感から脱して新たな関係を樹立するため、全力を尽くすという朝米共同声明を引き出した//ハンギョレ新聞社

 もう一つの関心事は(金副委員長が)トランプ大統領と面会するかどうかだ。トランプ大統領の特使だったポンペオ長官が、2度の訪朝で金正恩委員長と面会したため、相互主義原則によって金副委員長もトランプ大統領に直接会う可能性もある。元政府高官も29日、「金英哲副委員長が金正恩委員長のメッセージをトランプ大統領に伝えるのではないかと思っている」と話した。トランプ大統領は、ツイッターを通じて金副委員長の訪米を確認すると共に、「現在、首脳会談とそれ以上に関する交渉が進められている」と言及し、金副委員長の訪米の成果に対する期待感を高めた。朝米首脳会談に続き、南北米による終戦宣言まで行われる可能性を示唆したものと言える。

 金副委員長の訪米の目的には、トランプ大統領に直接会い、ジェスチャーや話術など基礎的な情報を把握することも含まれているものと見られる。首脳会談の準備のためにはトランプ大統領に対する対面情報が必要だ。

 一方、トランプ大統領が24日に朝米首脳会談の中止を内容とする公開書簡を発表した後、米国政府が進めていた対北朝鮮制裁措置の施行が無期限延期されたと、ウォールストリートジャーナルが28日付で報道した。首脳会談が復活した状況で雰囲気を害さないためと見られる。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、キム・ジウン、ノ・ジウォン、ファン・ジュンボム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/846779.html韓国語原文入力:2018-05-29 21:10
訳H.J

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