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ボルトン補佐官が「北朝鮮の核廃棄地」として言及した「オークリッジ」とは?

登録:2018-05-15 05:50 修正:2018-05-15 17:51
米国のタカ派が主張してきた「リビア式」核廃棄の象徴的場所  
米政府、2004年にリビアで回収した遠心分離機をここで公開 
第二次大戦の際、ウラン濃縮とプルトニウム製造が行われた原爆の村 
広島に投下された「リトルボーイ」の故郷 
時々反核集会が開かれることも
ジョージ・W・ブッシュ米国大統領が2004年、米テネシー州オークリッジにある国家安全保障複合施設で、リビアの核開発に関連した部品を見ている//ハンギョレ新聞社

 ボルトン米ホワイトハウス国家安保補佐官が13日(現地時間)、ABC放送とのインタビューで、「すべての北朝鮮の核兵器」を廃棄してから搬出する場所として、米国テネシー州のオークリッジに言及したことで、この場所に関心が集まっている。結論から言うと、オークリッジはボルトン補佐官が、ジョージ・W・ブッシュ政権時代に担当した「リビア式核廃棄モデル」を象徴する場所だ。

 ボルトン補佐官は、これまで何度も北朝鮮がリビア式核廃棄モデルに従わなければならないと主張してきた。ボルトン補佐官は先月29日、フォックスニュースとのインタビューで、北朝鮮の非核化と関連し、「リビアはすべての核関連施設に対する米国と英国の査察を受け入れた。我々はリビア方式を念頭に置いている」と述べており、3月20日には「ラジオ・フリー・アジア」(RFA)とのインタビューで「朝米首脳会談が実現すれば、13~14年前にリビアが核兵器を廃棄し、米国テネシー州オークリッジの国家安保団地倉庫に核施設を保管したことと同じような交渉をすべきだと思う」と言及した。

 彼が強調してきたリビアモデルは、核保有を疑われている国が先に核廃棄のための処置を取れば、米国がその成果を見極めながら、段階的に経済制裁を解除するというものだ。リビアのムアンマル・カダフィ政権は2003年12月、米英と秘密交渉の末に1970年代から進めてきた核開発を放棄すると発表した後、国際原子力機関(IAEA)の精密査察を受けた。

 以降、米国は2004年1月からリビアの核・弾道ミサイル開発関連装備と文書2トンを輸送機で運び、オークリッジの核施設に移した。米国家安全保障会議(NSC)は2004年3月15日、この成果をアピールするために、オークリッジの核施設「Y-12」で、リビアが所有していたP1タイプの遠心分離機12基の設置台やガス注入管、外部冷却機など、主要部品をマスコミに公開した。

 リビアはその後、2005年10月に核や弾道ミサイル用誘導装置と関連した施設・装備・研究資料などをすべて米国に引き渡し、核廃棄作業を終えた。米国はこの過程で、リビアに対する経済制裁措置を段階的に解除した。ボルトン補佐官は当時、米国務省軍縮・国際安保担当次官として、この作業を担当した。

 テネシー州の東側に位置した人口約2万8千人の小さな都市オークリッジは、米国が推進した秘密核開発プロジェクトだった「マンハッタン計画」の中心地だった。1942年に本格的に始まったマンハッタン計画の中心目標は核爆弾の製造に必ず必要な高濃縮ウラン(HEU)とプルトニウムを生産することだった。このため、オークリッジにはX-10(プルトニウム生産施設)やY-12(ウラン濃縮施設)、K-25、S-50など4つの核施設が建設された。このうちX-10は現在オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)として、Y-12は国家安保複合施設(National Security Complex)としてそれぞれ活用されている。

 現在、核物質貯蔵施設となったY-12は、1945年8月6日に広島に投下されたウラン型原子爆弾が生産されたところでもある。当時、「ウラン238」から核分裂物質の「ウラン235」を抽出するウラン濃縮作業は莫大なエネルギーが必要な高難度の作業だった。米国政府は天文学的な資金をつぎ込んでY-12に巨大な遠心分離装置を作り、この作業を終えた。

 現在Y-12は米国内と海外から移送された核物質と関連装備を安全に保管する貯蔵庫の役割を担っている。米国がリビアから持ってきた核物質と関連装備を保管しているのも、この場所だ。米国は2010年3月にチリから高濃縮ウランを受け取り、ここで保管している。

 オークリッジは、米国の核の歴史において核心的な役割を果たしてきたため、現在も「原爆の村」(atomic city)や「秘密都市」のように、あまり愉快でない呼び名で呼ばれている。広島に原爆投下した8月6日には、都市周辺で反核集会が開かれることもある。

キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/844466.html韓国語原文入力:2018-05-14 22:34
訳H.J

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