北朝鮮が「ジュネーブ合意」が破棄されてから建設が中断されていた咸鏡南道新浦(シンポ)の軽水炉の状態を点検するよう関係省庁に指示したと、日本のマスコミが報道した。
朝日新聞は6日付で、匿名の対北朝鮮関係筋を引用し、北朝鮮当局が咸鏡南道新浦市琴湖(クムホ)地区に工事が30%ぐらい進められてから放置されている軽水炉の現状を確認するよう指示したと報道した。同紙は、北朝鮮当局が軽水炉の建設再開の可能性と建設再開に必要な物資も詳細に報告するようにという指示も下したと報じた。
同軽水炉は、1994年10月の第1次核危機の解決のためのジュネーブ合意を通じて、米国が北朝鮮に提供することにした200万キロワット級の軽水炉を指す。慢性的な電力難に苦しむ北朝鮮は朝米枠組み合意当時、核兵器を放棄する見返りとして、軽水炉と軽水炉が完成するまで使用できるエネルギー源の重油を提供することを要請し、米国の同意を引き出した。
それによって韓米日など周辺国は朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を発足させ、軽水炉の建設を進めてきたが、9・11を経験したジョージ・ブッシュ政権が2002年10月、北朝鮮が高濃縮ウランを使用した核兵器を開発しているとして、協定の破棄を宣言したことで、軽水炉の建設も中断された。
しかし、その後も北朝鮮は軽水炉にこだわり続けた。北朝鮮は2005年9月、核を放棄する見返りに、朝米関係の正常化などを約束した6カ国協議共同声明(9・19共同声明)当時も、軽水炉の提供を粘り強く要求した。その結果、合意文に「適切な時期に軽水炉の提供を協議」するという文言が盛り込まれた。
このような前例からして、6月初めに開かれるものとみられる朝米首脳会談が成功裏に終わった場合、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、朝米関係の正常化だけでなく「軽水炉支援」など大規模な経済支援を要求する可能性が高い。軽水炉は北朝鮮の核施設が集中している寧辺(ヨンビョン)に位置した黒鉛減速炉とは異なり、再処理を通じてプルトニウムを抽出することが難しく、北朝鮮に適した原子炉モデルとして注目を集めてきた。