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[ニュース分析]リビア・イラン・ウクライナ…北朝鮮、どの非核化方式に従うだろうか

登録:2018-05-02 06:35 修正:2018-05-02 07:50
北朝鮮の非核化方式とは

1.米国が好む「リビア方式」 
「先に核廃棄、その後経済制裁の解除」 
リビア、すべての核施設の米国に渡す 
北朝鮮「一顧の価値もない」と一蹴 
 
2.トランプ大統領が拒否した「イラン方式」 
核活動10~15年制限してから制裁解除 
北朝鮮が約束した「完全な非核」には程遠い 
 
3.現実性の高い「ウクライナ方式」 
「先に体制保障、その後核廃棄」で非核化に成功 
ロシアが約束破り…強制力が問題に

ドナルド・トランプ米大統領が4月9日、初出勤したジョン・ボルトン国家安保担当大統領補佐官(右)と握手している=ワシントン/AFP聯合ニュース

 「私たちは2003~2004年のリビアモデルを念頭に置いている」(ジョン・ボルトン国家安保担当大統領補佐官)

 「イラン核協定の破棄は、(北朝鮮に)正しいメッセージを送るものだ」(ドナルド・トランプ米大統領)

 南北が4・27「板門店(パンムンジョム)宣言」で、「朝鮮半島の完全な非核化を実現するという共同の目標を確認した」と明らかにした中、朝米が今後どのような方式で非核化を実現できるかに関心が集まっている。

 交渉の当事者である米国側から聞こえてくる声は明確だ。北朝鮮の核は「完全かつ検証可能で、不可逆的な方法で廃棄」(CVID)しなければならず、そのためには「リビア方式」が最も望ましく、「イラン方式」は絶対に受け入れられないということだ。一方、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は、今年3月末に行われた中国の習近平国家主席との首脳会談で、「段階的・同時的処置」に言及し、米国と「行動対行動」原則に基づくギブアンドテイク式の交渉を進めていくことを示唆した。

 米国が最も好むリビア方式の最大の特徴は「先に核廃棄のための措置を行ってから、段階的に経済制裁を解除する」ことだ。リビアのムアンマル・カダフィ政権は2003年12月、米国・英国との秘密交渉の末に、1970年代から進めてきた核開発を放棄すると発表した。リビアは国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れるなど、2005年10月まで核・ミサイル関連施設・装備・研究資料などをすべて米国に渡し、核廃棄を完了した。米国はその見返りとして、経済制裁を順に解除し、2006年5月に国交を正常化した。ボルトン国家安保大統領補佐官は先月29日、「フォックスニュース」などとのインタビューで、北朝鮮の非核化と関連し、「リビアはすべての核関連施設で、米国と英国の査察を受け入れた。私たちはリビア方式を考えている」としながらも、「(北朝鮮とは)明らかな違いがある」とし、交渉が容易でないことを認めた。ボルトン補佐官はリビアの核廃棄当時、国務省軍縮・国際安保担当次官として、この作業を担当した。

リビアのカダフィ大統領(右)が2008年4月、トリポリを訪問したロシアのプーチン大統領を出迎えている//ハンギョレ新聞社

 しかし、核開発を完成しなかったリビアに適用した方式を「国家核武力の完成」を成し遂げたと主張する北朝鮮に適用するのは、現実性に欠けるという指摘が多い。北朝鮮も数回に渡って、リビア方式は「一顧の価値もない」と主張してきた。

 これに比べ、トランプ大統領が「受け入れられない」と主張してきたイラン方式の核心は、イランの核活動を10~15年間にわたり「一時的に制限」したことだ。イランは2015年7月、米国など6カ国と、軍事用に転用できる高濃縮ウランと兵器級プルトニウムを15年間生産せず、10トンだった濃縮ウランを300キログラムに減らすと共に、1万9000基だった遠心分離機の数を10年間6104基に維持することを骨子とする包括的共同行動計画(JCPOA)に署名した。米国などはその見返りとして金融制裁とイラン産原油取引の制限を解除した。

 この協定の短所として挙げられるのは、核活動の凍結期間を10~15年に定めた“日没条項”だ。イラン方式は、核活動を“凍結”するもので、北朝鮮が約束した「完全な非核化」には程遠い。

 このような中で、北朝鮮の核問題を現実的に解決できる合理的な代案として注目されるのが、「ウクライナ方式」だ。この方式の特徴は「先に体制を保障してから、核を廃棄する」ことだ。1991年の旧ソ連の解体と共に独立したウクライナの領土内には、1200以上の核弾頭が残っていた。米国やロシア、英国などは1994年12月、「ブダペスト覚書」を通じて、ウクライナが核兵器を放棄し、これをロシアに渡せば、独立・主権・領土を保障すると共に、核兵器の使用を含めた一切の武力行使や脅威を加えないと約束した。ウクライナは1994年5月、核拡散禁止条約(NPT)に加入し、1996年6月、すべての核兵器をロシアに渡して、非核化を完了した。しかし、ロシアは2014年3月にウクライナ領土だったクリミア半島を併合し、約束を破った。

キル・ユンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/842830.html韓国語原文入力:2018-05-01 21:24
訳H.J

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