3月13日、韓国の市民社会が長年の友人である福山真劫氏など日本の平和活動家を招請して「韓日市民平和会議」というシンポジウムを開いた。そこに討論者として呼ばれ、南北と日本をまとめて「東北アジア非核地帯」を作ることが北朝鮮核問題解決の合理的代案というチョン・ウクシク平和ネットワーク代表の主張に接した。その時の討論では「韓日の対北朝鮮・対中国観には大きな差があるので、そうした構想が現実化することは難しそうだ」という意見を明らかにした。しかし、4・27「板門店(パンムンジョム)宣言」を通じて、南北が「『(朝鮮半島の)完全な非核化』目標を確認した以上、この計画を南北と日本を包括する東アジア市民社会が追求すべき目標に設定してみることも妥当と考えるようになった。
多くの専門家が板門店宣言に「完全な非核化」が明文化された点を高く評価しながらも、なお一抹の不安を拭えていない。朝鮮半島の「完全な非核化」をどのように定義するかをめぐり、南北はもちろん朝米間に深淵のような見解の相違が存在することが明らかなためだ。まず、完全な非核化という表現が使われたので、1992年2月に発効した「朝鮮半島非核化共同宣言」が思い浮かぶ。これを見れば、南北は核兵器の「試験、製造、生産、受取、保有、保存、配備、使用をせずに、再処理施設とウラニウム濃縮施設を保有せず、非核化の検証のために査察を実施する」などの内容が含まれている。
しかし、北朝鮮が考える「朝鮮半島非核化」の内容は過去25年にわたる“険しい”迂余曲折を経て変わらざるをえなかった。1992年は冷戦解体の直後であり、北の核能力は取るに足りなかった。しかし、北は昨年11月、米国ワシントンを打撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星-15型の試験発射に成功し、「核武力完成」を宣言した。このような能力を備えつつあった2016年7月に、北朝鮮は彼らが考える「朝鮮半島非核化」の5大条件を明らかにした。そこには、南朝鮮に配備された米国のすべての核兵器公開▽それに対する検証▽朝鮮半島とその周辺に核打撃手段を引き込まないという約束▽いかなる場合にも核による恐喝・威嚇・使用はないという確約などの内容が含まれている。
これを充足するには、米国は韓国に対する拡張抑止(核の傘)はもちろん、事態が思うままにならなければ北朝鮮を核で叩く(あるいは叩いて威嚇する)“核オプション”も撤廃しなければならない。北朝鮮の核放棄を大声で叫ぶ多くの人々が、米国の拡張抑止がなくなるという事実に身の毛がよだつような恐怖を感じるかもしれない。しかし、これこそが私たち皆が知っていながら、誰も口に出さない朝鮮半島の最も巨大な「自分がやればロマンス、他人がやれば不倫」(他人の過ちは大きく、自身の過ちは小さく感じる)ではないだろうか。
東北アジア非核地帯論の元祖は、米国の著名政治学者モートン・ハルペリンだ。彼が2011年に唱えた東北アジア非核地帯(NEA-NWFZ)論によれば、南北と日本が非核地帯の“地帯内国家”になり、米・中・ソは“周辺核国家”になる。地帯内国家は核兵器を持たないことを宣言し、周辺核国家は核はもちろん通常兵器による攻撃もしないという実効性ある安全保障をしなければならない。実際地球上には中南米、東南アジア、アフリカなど5つの非核地帯がある。
この構想が現実になれば、東アジアの核対決は終わり、ミサイル防御(MD)に天文学的な財政を注ぎ込んで捨てたり、昨年のTHAADの対立で確認したように茶の間にG-2の衝突が持ち込まれることも回避できる。日本も核兵器6000発分(47.9トン)もの莫大なプルトニウム保有を正当化するために多額の金銭を使って「核燃料サイクル」を維持しなくとも済む。そして何より、北朝鮮の核問題を真に解決できる。