河野太郎外相が米国の高官に対し、朝米首脳会談開催の前提条件として北朝鮮の「中距離ミサイル放棄と日本人拉致問題の解決」が約束されなければならないと要求したと共同通信が伝えた。
共同通信は25日、匿名を求めた外交消息筋の話を引用して、15日から18日まで米国を訪問した河野外相が、米国側にこのような日本側の要求を伝えたと報道した。
河野外相は米国のマイク・ポムペイオ国務長官内定者のジェームズ・マティス国防長官、ジョン・サリバン国務部副長官に会い、5ページ分量の資料を渡したが、この資料には朝米首脳会談前に朝鮮半島の完全で検証可能で復元不能な非核化、日本に到達する中距離弾道ミサイルの放棄、国際原子力機構(IAEA)の査察受け入れ、北朝鮮による日本人拉致問題の解決、化学兵器の廃棄を北朝鮮が約束しなければならないという内容が含まれていると通信は伝えた。来月米国を訪問する予定の安倍晋三首相も、ドナルド・トランプ米大統領に同じ要請をするものと見られる。
日本では、朝鮮半島対話ムードが高まり、北朝鮮に対する「最大限の圧力」を強調してきた日本が疎外されるのではないかという憂慮が強い。特に日本は、米国が自国にとって脅威となる北朝鮮の核兵器と大陸間弾道ミサイル(ICBM)廃棄に集中し、日本が射程圏に入る北朝鮮の中・短距離ミサイル問題は放置されかねないと心配している。また、安倍政権が最優先課題に挙げてきた日本人拉致被害者問題も、朝米首脳会談ではほとんど議論されないかもしれないと憂慮している。
しかし、米国側は日本の追加前提条件要求に難色を示したという。通信は、米国側は河野外相の説明に理解は示したが、こうした内容を会談の前提条件とすることには現実性がないという認識が強いと伝えた。ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、北朝鮮が非核化、核・ミサイル試験凍結、韓米合同軍事演習に対する理解の三点の約束を守れば、朝米首脳会談は予定通り開かれると明らかにしている。