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墜落する安倍政権が改憲案を打ち上げ

登録:2018-03-25 22:55 修正:2018-03-26 08:39
発表延期の予想裏切り自民党草案発表を強行 
「自衛隊保有」条項新設「戦力保持の禁止」は死文化 
公文書改ざんスキャンダルで年内国会発議は不透明
安倍晋三首相が25日、東京で開かれた自民党党大会で演説している=東京/AFP聯合ニュース

 日本の執権与党である自民党が、戦後体制の根幹を揺るがす平和憲法改定作業を本格的に始めた。

 自民党は25日、東京で開かれた党大会で、憲法に自衛隊の存在明示規定を追加する内容を骨格とする自民党次元の憲法改定草案を公式発表した。私学法人森友学園特典疑惑スキャンダルで、安倍晋三政権が窮地に追い込まれた状況であるため改憲案草案の提示が延期されるという予想があったが、予想を裏切り自民党は憲法改定草案の発表を強行した。

 自民党は、戦力保持の禁止を規定した現行憲法9条2項をそのまま据え置く代わりに、“9条の2”を新設しようと提案した。“9条の2”には「前条(9条1項と2項)の規定は、我が国の必要な自衛の措置を取ることを妨げず、そのための実力組織として法律の定めることにより内閣の首長である首相を最高指導者とする自衛隊を保有する」という案を提示した。自民党憲法改正推進本部は、当初は自衛隊が「必要最小限の実力組織」という一節を入れ、自衛隊が軍隊の戦力ではないことを明確にしようとした。だが、この表現が自衛隊の活動を制約しかねないという党内世論にしたがって削除した。自民党の憲法改正案どおりに改定が進めば、戦力保持を禁止した9条2項が死文化される恐れがある。自民党はこの他に、大規模災害発生時の国会議員任期延長▽参議院選挙区調整▽教育の重要性を国家理念として位置づける内容も憲法改定案として提示した。

 安倍首相はこの日、党大会で「いよいよ結党以来の課題であった憲法改正に取り組む時が来た。憲法に自衛隊を明記して、自衛隊が違憲という論争に終止符を打つことが自民党の責務だ」として、憲法改定に強い意欲を見せた。

 自民党の二階俊博幹事長も党務報告をして「衆参両院の憲法審査会で議論を深め、憲法改正原案を作り(国会発議を)目指す」と述べた。

 安倍政権の憲法改定作業は、昨年5月3日の憲法記念日に開いた改憲派集会に安倍首相が映像メッセージを送り、「自衛隊を明記する形で憲法を改正したい」と話して本格的に始動した。自民党は2012年にも「首相を最高指揮官とする国防軍を保有する」という内容の改定案を発表したが、日本国内でも国粋主義的という批判に直面した。自民党は2012年に比べて弱まった改憲案を提示し、国民の警戒感を払拭しようとしているが、改憲が実現すれば日本の現行平和憲法の根幹が揺らぐことになる。戦力保持を禁止する9条2項が死文化され、攻撃型兵器の保有禁止、国外武力行使禁止の手綱が解かれかねない。東京新聞は、日本の右翼団体である日本会議の関係者らが安倍首相の主張した憲法改定案と似た内容を昨年以前から主張していたとし、彼らが自衛隊明示規定を追加する改憲で「憲法9条2項を死文化させなければならない」と主張したと伝えた。

 安倍政権は2014年の憲法解釈変更と2015年の安保法制改定で現行憲法の規定を事実上無力化してきたが、憲法改定では平和憲法の根幹が崩れる恐れがある。また自民党は、国民の拒否感が少ない部分から憲法を改定し、その後に平和憲法の内容自体を根本的に変える2段階改定をする意図が伺える。自民党憲法改正本部の船田元議員は、2月に国会で開かれた集会に送った映像メッセージで「9条2項を削除すれば、自衛隊の役割と機能が無限に拡大するという憂慮を国民に与えかねない。9条2項を残す形で自衛隊を明記することが、国民の理解を得やすい」として「もう一つのアイディアは、最初の憲法改正が今後あるであろう何度もの(改正)の前提だという考えだ。国民が私たちの憲法改正作業に慣れれば、将来は9条2項を削除する」と話した。

 自民党はこの日、改憲推進と関連して「政党の枠を越えて、先頭に立って国民との議論を深めて行く」という内容の今年の行動方針も決めた。「領土と歴史認識に関し戦略的対外発言を一層強化する」という内容も行動方針に入った。

 しかし、安倍政権が森友学園スキャンダルと関連して公文書まで改ざんしたとの波紋が広がり、支持率が31%(朝日新聞調査)まで落ちた状態であり、自民党が年内に国会に予定通り改憲案を発議できるかは不透明だ。

 安倍首相は、自民党党大会でも憲法改正の話に先立って、公文書改ざんスキャンダルから謝った。「行政に対する信頼を揺るがす事態になった。責任を痛感する。最終的責任は私にある。あらためて国民に深く謝罪申し上げる」として頭を下げた。

 しかし憲法改定賛成派と反対派を問わず、安倍政権の改憲作業強行に対しては懐疑的見解と批判が依然根強い。小泉純一郎元首相の息子であり国民に人気が高い小泉進次郎議員は、党大会の後に公文書改ざんスキャンダルについて「政治史に残る大事件だ」として「(憲法)改正には賛成するが、野党支持者そして支持政党のない人も含めて賛成するという気運が高まらなければ、国民投票(通過は)容易でない」と話した。改憲に友好的な日本維新の会の松井一郎代表は16日「今は熟考できる雰囲気ではない」と話した。民進党の小川敏夫議員は25日、NHKの討論プログラムで「ここまできて憲法(改正作業議論)は森友学園スキャンダル隠しのために話題を変えようとしているとしか考えられない」と話した。立憲民主党の枝野幸男代表は「公文書を改ざんした政権を信用することはできない。憲法(改定)議論ができる前提を壊したのは安倍首相本人だ」と述べた。

 公文書改ざん疑惑も絶えず出てきている。毎日新聞は森友学園国有地安値売却疑惑に関連した公文書の改ざんを、財務省本庁が国有地売却を担当した地方部署にEメールで指示したと報道した。国有地売却疑惑を捜査している大阪地検特捜部がこのようなメールの内容を入手したと伝えた。

東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/837592.html韓国語原文入力:2018-03-25 20:54
訳J.S

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