本文に移動

[インタビュー]「日本に帰って『共感』のような人権弁護士団体を作りたい」

登録:2018-02-19 07:40 修正:2018-02-19 09:29
在日同胞3世の金昌浩(キム・チャンホ)弁護士
金昌浩弁護士=キム・ミンギョン記者 //ハンギョレ新聞社

 「政権交代が実現しない日本で住んでいたためか、この1年間の韓国の変化が本当に速く感じられます。肯定的な変化もありますが、忠清南道の人権条例が廃止されたのを見ると、保守の方もダイナミックですね」

 5日、ハンギョレと会った在日同胞3世の金昌浩(キム・チャンホ)弁護士(34)が、1年間見て聞いて感じた韓国の総評は“速い変化”だ。1984年に日本で生まれ、日本の司法試験に合格した金弁護士は、昨年2月から韓国生活を始めた。4年前に公益人権法財団「共感」で1カ月間インターン活動をしたが、もっと深く韓国の人権弁護士らの生活を理解したかった。この1年の間、民主社会のための弁護士会の特別会員として加入し、国際連帯委員会、共感などと交流し、法務法人太平洋が設立した公益財団法人「トンチョン」でも働いた。

 世界化・国際化を「国内の外国人との共生」と見る金弁護士は、移住民・移住労働者に対する韓国人の態度に注目した。「韓国はまだ世界化・国際化を米国に留学し経済的に成功していくものだと考えています。日本とは異なり、難民法があるが、韓国で外国人の数が増えてるなか、嫌悪が可視化するのも時間の問題だと思います。日本人たちが在日同胞に反発するのは、長い間日本社会に大規模で暮らしながら影響力まで持っていたからなのです」。性的マイノリティに対する“嫌悪の可視化”は憂慮すべき水準だ。「日本に在日同胞へのヘイトスピーチ(嫌悪発言)があるのに対し、韓国は性的マイノリティへの嫌悪が深刻で、彼らのための法を発議することも難しそうです」

 しかし、金弁護士は「変化のスピードが速いため、韓国の方が希望があると思う」と話した。日本と異なり、韓国は市民の後援金で運営する市民団体が人権関連活動を積極的に行っている。「韓国は独裁と民主化経験のためか、市民団体が活性化されています。日本は弁護士協会が公益機構として政府政策に反対してはいるが、弁護士同士の競争が熾烈で人権活動をする余裕がありません。人権弁護を専門とする団体が必要だが、市民の後援という韓国モデルが適用できるかが悩みです」。彼は日本に帰ってから「共感」のような人権弁護士団体の設立を考えているという。昨年、裁判所国際人権法研究会が出した『人権判例評釈』も希望のシグナルと見た。「人権弁護士がヘイトスピーチを指摘しても、判断を下すのは判事なので、判事が人権と国際人権に関心を持って研究するのは大きな意味があります」。彼はこの本を日本語に翻訳する予定だ。

 彼の歩みは韓国近現代史とつながっている。慶尚北道軍威郡(グンウィグン)で生まれた祖父は、日本植民地時代の1927年に生計のために日本に向かい、大阪の部落で暮らした。父・金敬得(キム・ギョンドゥク)弁護士は1976年に日本の司法試験に合格したにも関わらず外国人は司法研修院に入所できないという「差別」にぶつかり、闘争の末に韓国国籍として第1号の日本の弁護士になった。在日同胞国民年金訴訟、指紋捺印撤廃訴訟など、在日同胞の人権のために闘った父は、子どもたちのハングルの名前や母国語使用にも厳しかった。「たくさん勝訴することはできなかったが、司法試験の勉強をする時に(事例が)出るほど意味のある判例を残した」父が2005年に死亡すると、弁護士になることを決心し、翌年司法試験に合格した。

日本で最初の韓国籍弁護士の父  
死去後、父の道を継ぐことを決心  
シカゴ大学ロースクールに入った後、  
国際人権に目覚め人権弁護士の道へ 
「在日同胞問題には国際圧力が必要  
東アジアの人権・平和共同体が夢」

 2008年に有名な森・濱田松本法律事務所に入社したが、2012年にシカゴ大学ロースクールに進学後、国際人権に目覚めるようになり、韓日、在日同胞問題解決のためには国際社会の圧力が必要だということに気づき、人権弁護士の道を選んだ。シカゴ大学ロースクールの支援を受けて日本の市民団体「ヒューマン・ライツ・ナウ」事務局次長として働きながら、外国に進出した日本企業の人権侵害を暴露した。2015年には国連マイノリティ・フェローシップに選抜され、3カ月間どのようにマイノリティが国連人権規範を活用できるかを学び、実際に在日同胞へのヘイトスピーチ関連報告書を国連に提出し、国際社会の関心を求めた。国連人権理事会は昨年、ヘイトスピーチなどの是正を日本に勧告した。

 3月から台湾の東呉大学人権センターの研究員として1年間活動する予定の彼の視野は、韓日問題を越えて東アジアの人権に向かって進んでいる。「父は韓日関係と関連した活動をしましたが、私は観点をもっと広げてみたいのです。日本企業の海外での人権侵害問題を扱う時も、韓国、中国の企業と元請・下請業者が絡み合っているため、一国のみで解決できない問題でした。韓国と中国・台湾、日本の連帯を通じた東アジア平和・人権共同体を作るのが夢です」

キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/832583.html韓国語原文入力:2018-02-18 20:32
訳M.C(2249字)

関連記事