ドナルド・トランプ米大統領が12日(現地時間)、韓国や中国、日本を直接取り上げ、貿易赤字を正すため、米国産製品に他の諸国が課す税金だけ関税を賦課する「相互税(reciprocal tax)」を導入する方針を示した。
トランプ大統領は、ホワイトハウスでインフラ投資の構想を発表する場で、記者団に「相互税を実施する。今週中か数カ月以内にそれについて聞くことになるだろう」と明らかにした。トランプ大統領は「米国以外の諸国に請求書を突きつける。米国を利用した国の一部はいわゆる同盟国だが、貿易においては同盟ではない」として、このように述べた。
特にトランプ大統領は「我々は中国や日本、韓国など他の多くの国々に夥しい金額を失った。彼らも私の立場を理解している。私は彼らと多くの話をした」としたうえで、「彼らにとってはやや荒々しいものに見えるかもしれない。彼らはこの25年間、やりたい放題だったから」だと述べた。さらに、「しかし、我々はこれから政策を変更する。そのまま放っておくわけにはいかない。それ(貿易赤字)は、実際に米国の労働者とあらゆるものに影響を及ぼしている」と主張した。
トランプ大統領は昨年5月に行った「ブルームバーグニュース」とのインタビューで、「相互税に対する強い信頼を持っている。特定国家が我々に52%の税金を課すのに、我々は同じ製品に対して税金を賦課していない」として、「相互税」の導入に向けた意志を明らかにした。
今回の発言は、先月、韓国産などの輸入洗濯機と太陽光パネルに対するセーフガード(緊急輸入制限)措置を発効したのに続き、今年11月の中間選挙を控えて貿易戦争を本格化するというシグナルと言える。
しかし、トランプ大統領のいう「相互税」は通商分野の用語としてあまり使われないものであり、具体的に何を指しているのか明確ではないという指摘もあるる。ワシントンの通商消息筋は「昨年5月トランプ大統領が『ブルームバーグ』とのインタビューで言及した相互税は、中国・メキシコ産の輸入製品に『国境調整税』を賦課するという趣旨だったが、貿易対立が高まる恐れがあると議会が憂慮を示して見送られたことがある」と指摘した。
政治専門メディアの「ポリティコ」も「具体性がない」として、「他の諸国より低い米国の関税賦課の構造に対する不満を示したものとみられる」と分析した。米国の平均関税率は3.5%である反面、中国の平均関税率は9.9%だと、同メディアは報じた。
韓国の通商当局は神経を尖らせながらも、「具体的内容や方式に関する言及はなかった」として、慎重な反応を示した。産業通商資源部の関係者はハンギョレとの電話インタビューで、「世界貿易機関(WTO)の全加盟国は最恵国待遇(MFN)に基づき、すべての国に同様に関税を課しているが、いかなる方法で(特定の国のみを対象に)相互互恵的に関税を賦課するというのか、理解し難い」と話した。しかし、韓国政府は、セーフガードの発動など米国の輸入規制や貿易報復が本格化しているだけに、緊張を隠せない様子だ。