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米国、セーフガード発動…「保護貿易戦争」引き金引いたトランプ

登録:2018-01-24 07:57 修正:2018-01-24 15:57
米国、16年ぶりに緊急輸入制限措置 
洗濯機の関税、0.4→20%に上げる 
太陽光セル・モジュールには30%賦課 
韓国「不当な措置、WTOに提訴」 
勝訴の事件と関連した報復関税の要請も
グラフィック=チャン・ウニョン//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が22日(現地時間)、韓国産大型家庭用洗濯機と太陽光セル・モジュールに対して緊急輸入制限措置(セーフガード)を電撃的に承認した。韓米自由貿易協定(FTA)改定1次交渉で韓国側がこれらの製品に対するセーフガード発動の中止を強力に要求したにもかかわらず、トランプ政権が“関税爆弾”の実行に入り、両国間の貿易摩擦が深まるものと予想される。世界貿易機構(WTO)が乱用を厳格に制限するセーフガードを米国が発動したのは、2002年以来初めてのことだ。

サムスン・LGの米国洗濯機市場シェア現況//ハンギョレ新聞社

 米国通商代表部(USTR)は同日、「トランプ大統領が、外国産の家庭用輸入洗濯機と太陽光セル・モジュール製品に対するセーフガード関税賦課勧告案を最終承認した」と発表した。米国の今回の措置は15日以内に発効され、最長8年まで継続することができる。セーフガードは、特定品目の輸入が急増し自国の業界に深刻な被害が発生する恐れがある場合、該当するすべての外国産輸入製品に輸入関税を課したり、輸入量を制限する貿易障壁だ。

 洗濯機のセーフガード期間は3年で、年間基準で低率関税割り当て(TRQ)クォーター量(120万台)について、関税率20%(1年次)→18%(2年次)→16%(3年次)を適用し、クォーター超過量(120万台以上)には50%→45%→40%が課される。洗濯機部品は3年間無関税クォーター量を5万台→7万台→9万台に増やすものの、クォーター超過量には関税率50%→45%→40%が課される。当初、米国際貿易委員会は韓米FTA協定によって、韓国域内で生産される洗濯機は「セーフガードの適用外」にすることを勧告したが、今回の承認文書には何の言及もないため、韓国域内の生産物量も含まれたことが確実視される。サムスン・LG電子が米国に輸出する洗濯機は年間約10億ドル(台数は約300万台)に上る。業界の輸出品市場価格は今回の関税賦課額の分だけ高くならざるをえないため、米市場での価格競争力の弱体化により輸出の大幅減が避けられない見通しだ。米国市場に輸出される洗濯機の現行の関税率は0.4%だ。

 太陽光セル・モジュールのセーフガード期間は4年に、無関税が適用されるセルのクォーター量は2.5ギガワット(GW)だ。これを超過する物量には関税率30%(1年次)→25%(2年次)→20%(3年次)→15%(4年次)が、モジュールには低率関税割り当てはなく、関税のみ30%→25%→20%→15%が課される。韓国産太陽光セル・モジュールの米国市場輸出額は9億5千万ドル(昨年1~11月)だ。国内ではハンファQセルズとLG電子が太陽光製品を輸出している。

 5日に開かれた韓米FTA改定1次交渉で、韓国政府が投資者-国家紛争解決(ISDS)の改善と共に洗濯機・太陽光などに対する輸入規制の中止を第1の要求事項として掲げたにもかかわらず、米国がセーフガード強硬措置を発動したことにより、今後改定交渉はさらに険しい衝突の局面に入るとみられる。また、洗濯機・太陽光に続き、韓国産鉄鋼などの他の品目にまで米国の輸入規制攻勢が拡散することが懸念される。ロバート・ライトハイザー米通商代表部代表は「今回の処置はトランプ政権が米国の労働者・農民・牧場主・企業家たちを守るという点を明確にした」と明らかにした。貿易協会の関係者は「ワールプールとゼネラルエレクトリック(GE)は、米国人が日常的に使う洗濯機メーカーだ。トランプ大統領が『米国優先主義』の象徴的な効果を狙って超強硬姿勢を取ったようだ」と話した。

 キム・ヒョンジョン通商交渉本部長は23日、「セーフガード緊急官民対策会議」で「今回のセーフガードに世界貿易機構の規範に反する素地があるのは明らかだ。不当な措置に対し、世界貿易機構に提訴する」とし、「韓国家電企業が米国に現地工場を立て、米国の経済に貢献しているにもかかわらず、不利益を加えたことは納得し難い」と話した。

 また、韓国の通商当局は2013年から韓国製洗濯機に不当な反ダンピング関税を賦課している米国を相手に「報復関税」を賦課する手続きに入り、対抗に乗り出した。通商交渉本部は22日(現地時間)、ジュネーブで開かれた世界貿易機構紛争解決機関(DSB)の定例会議で「2013年韓米洗濯機紛争」と関連して、米国に対する譲許停止(報復関税の賦課)の承認を要請したと、23日明らかにした。この紛争で米国が2016年に最終的に敗訴したにもかかわらず、反ダンピング関税を撤回しないままこれまで賦課し続けたため、韓国市場に輸出する米国商品に年間7億ドル相当の報復関税を賦課するとし、応酬に乗り出したのだ。政府は「今回の譲許停止申請は、米国が判定結果を速やかに履行するよう誘導するためのもの」と話した。

チョ・ゲワン記者、ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/829068.html韓国語原文入力:2018-01-24 00:43
訳M.C

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