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米国の新安保戦略、北朝鮮を「ならず者政権」と規定…「先制攻撃」には言及せず

登録:2017-12-20 00:21 修正:2017-12-20 08:11
トランプ政権が今日発表 
北朝鮮をならず者政権と規定しながらも 
「先制攻撃」の用語は使用せず 
2002年には6カ月後にイラク侵攻
ドナルド・トランプ米大統領が18日、新国家安保戦略報告書の内容について演説している=ワシントン/AFP聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米国行政府が18日(現地時間)、発足11カ月ぶりに新しい国家安保戦略報告書を発表した。北朝鮮とイランを「ならず者政権」と規定しながらも、「先制攻撃」や「予防戦争」に関する明示的言及はしなかった。

 ホワイトハウスは同日発表した報告書で「我々は北朝鮮の侵略に対応して圧倒的な力で対応する準備ができている」としながらも、「朝鮮半島の非核化を導くための方策を発展させていく」と明らかにした。北朝鮮が先制的に米国や同盟国を攻撃する場合に限り、自衛権のレベルで武力を使用し、そうでない場合は制裁と対話など、様々なオプションの可能性を残していく方針を示したものと見られる。

 特に今回の報告書が、ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安保補佐官が「外交が失敗すれば予防戦争または先制攻撃が必要かもしれない」と言及したにもかかわらず、「先制攻撃」と「予防戦争」という言葉を使用しなかった点にニューヨークタイムズは注目した。ブッシュ政権時代に発表された2002年の国家安全保障戦略報告書は、「予防戦争」を含め先制的な軍事行動を正当化する内容を盛り込んでおり、それから6カ月後のイラク侵攻の根拠となった。

 国内専門家らは(これらの用語が)同報告書に含まれなかったことについて、「実際に可能性が高くないため」(チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院首席研究委員)、「戦略報告書には状況変化に応じて変わっていく具体的政策は盛り込まない方がいいと判断したのだろう」(キム・ヒョヌク国立外交院教授)と分析した。

 しかし、今回の報告書はバラク・オバマ政権時代の2015年戦略報告書よりは北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する認識が深刻になったことを示している。68ページの分量の報告書に「北朝鮮」が17回も登場しており、2015年の3回を大きく上回った。

 また、2015年の報告書は、北朝鮮の挑発と脅威が深刻な危機に発展する可能性があるという程度の言及に止まったが、今回の報告書は「北朝鮮が核兵器で数百万人の米国人を殺傷することを追求している」と主張した。さらに、「大量破壊兵器の拡散と開発を決心した(北朝鮮・イランのような)国の脅威を無視するほど、そのような脅威はさらに悪化し、我々の防御オプションも少なくなる」と警告した。

 同報告書は「米国はミサイル攻撃から本土を防御するため、北朝鮮とイランに焦点を合わせた多層ミサイル防衛(MD)体系を配備している」とし、「このような(MD)体系は、発射前にミサイル脅威を無力化することを含む」と明らかにした。「発射前の脅威の除去」はサイバー攻撃などを通じたミサイルの無能力化を指すものとみられる。

 また、「我々は日本や韓国とミサイル防衛について協力し、地域防衛(area defense)の力量を強化する方向に進む」と明らかにした。「地域防衛の強化」が米国主導の韓米日MDの構築を示唆するかどうかは、来年初めに弾道ミサイル防衛見直し報告書(BMDR)や核態勢見直し報告書(NPR)が出れば具体的に知ることができるものとみられる。

 同報告書は「我々は完全かつ検証可能で不可逆的な朝鮮半島の非核化を達成し、北東アジアの非拡散体制を守るために、同盟およびパートナー諸国と協力する」と明らかにした。「北朝鮮の非核化」を追求するだけでなく、韓国や日本独自の核武装も認めないと方針を示したものと言える。トランプ大統領は報告書を発表し、北朝鮮の核危機について「それは解決されるだろう」とし、「我々には選択の余地がない」と述べた。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/824180.html韓国語原文入力:2017-12-19 21:45
訳H.J

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