武器メーカーの株式は、恐怖と悲劇が大きくなる時に値が上がる代表的な「罪悪株」だ。米国の軍需企業が「北朝鮮特需」で株価も上昇を続けている。
米上院は18日、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)の国防予算に7000億ドル(約80兆円)を策定する案を89票対9票で可決した。今年5月、ドナルド・トランプ行政府が要請した6400億ドルを大きく上回る金額だ。これに先立って下院が用意した国防予算総額は、上院と規模がほとんど同じで、両院は今後予算案を一元化する予定だ。トランプ大統領は、北朝鮮を強く非難した19日の国連総会演説で「我が軍はまもなく史上最強になるだろう」と述べた。
上院で国防予算の大幅増額を主導したのは、ジョン・マケイン軍事委員長だ。マケイン委員長は、行政府が当初提出した国防予算案が北朝鮮などの脅威に対応するには不充分だと主張した。上・下院が用意した水準で予算が確定すれば、2018会計年度の国防予算は前年に比べて10%台の増加率を記録することになる。
上院予算を具体的に見れば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)撃墜用ミサイル28機が購買項目に入っている。トランプ大統領は7月の大陸間弾道ミサイル発射の後「弾道ミサイル防御(BMD)予算を数十億ドル増やす」と述べた。韓国軍と朝鮮半島で連合訓練を行っている新型ステルス戦闘機F-35の購入機数も、上院は政府案(70機)より24機多い94機に増やした。この他に、ミサイル駆逐艦1隻(19億ドル)を購入し、F-18戦闘機も政府案より10機多い24機を購入することになっている。2030年までに1兆ドル以上必要な核戦争力更新費用も含めた。
トランプ大統領が公言した軍備増強とあいまって、北朝鮮核をめぐる緊張が大幅に高まり、米国の軍需企業の株価は急騰している。戦闘機などを生産する代表的軍需メーカーであるボーイング社の株価は、トランプ行政府の発足後に60%もあがった。同じ期間に最大のミサイルメーカーであるレイセオンは約25%、ロッキードマーティンとノースロップ・グラマンは20%ほど株価が上がった。米国証券市場の代表指標であるダウジョーンズ産業平均指数の上昇率(12.4%)を大きく跳び超える水準だ。
ボーイングなどの株価上昇には、トランプ大統領が熱心にセールスに出た民航機販売に対する期待も反映されたが、朝鮮半島の緊張高揚も重要な要因という説明が米国証券市場から出ている。「軍産複合体が北朝鮮情勢の恩恵を享受している」という声が、米国内から出ていると毎日新聞は27日伝えた。
日本も北朝鮮の脅威を名分に防衛予算を増やしている。日本の防衛省は最近、来年度予算で歴代最高の5兆2551億円を要求した。