米財務省が22日(現地時間)、北朝鮮の核開発プログラムを助けたと判断した中国とロシアなどの機関や個人に対して独自制裁を発表した。3時間後レックス・ティラーソン米国務長官は、国連安全保障理事会が対北朝鮮制裁を決議した後、北朝鮮が緊張を高める行動をしなかったことについて、「注目しており、認めている」として、高く評価した。同じ日に、北朝鮮に向けて対話と制裁のシグナルを同時に送ったのだ。
財務省の外国資産管理局(OFAC)は同日、報道資料を通じて中国の5社、ロシアの1社、シンガポールの2社、ナミビアの2社など、海外企業10社を制裁リストに載せた。財務省はまた、中国とロシア、北朝鮮の個人6人に対しても制裁を加えると発表した。
財務省が北朝鮮の核問題と関連して独自制裁を加えるのは、今年に入ってから4回目で、6月29日以来、約2カ月ぶりのことだ。特に、今年6月末の制裁発表では、中国の丹東銀行を資金洗浄憂慮対象に指定し、米金融システムへのアクセスを遮断した。米国の独自の制裁対象リストに載ると、米国内の資産が凍結され、米国人と米国企業との取引が禁止される。
中国企業と関連しては、2013年から2016年まで北朝鮮産石炭の輸入に関与した「丹東至誠金属材料有限公司」が最も注目される。丹東至誠金属は兵器生産にも使われる二重用途の物資を北朝鮮に輸出したとされる「丹東東源実業有限公司」と関連があるとされる。明正国際貿易は、北朝鮮の海外輸出銀行(FTB=Foreign Trade Bank)の代わりに、ドル取引を手助けした容疑を受けている。そのほかにも中国の丹東リッチアース貿易、ジンホウ国際持株、丹東ティアンフ貿易なども、北朝鮮の核開発や石炭取引と関連し、制裁対象に含まれた。
ロシアのゲペスト-M LLCは、北朝鮮の檀君貿易のモスクワ支社から金属を調達した疑いを受けている。個人はキム・ドンチョル(北朝鮮)、ルベン・キラコスヤン、イレーナ・フイシュ、ミハイル・ピースクリーン、アンドレイ・セルビン(以上ロシア)、チ・ユポン(中国)がリストに含まれた。
スティーブン・ムニューチン米財務長官は、独自制裁案と共に発表した声明で「北朝鮮の核や弾道ミサイルプログラムの開発に使用される資金を支援する企業や個人は、中国でも、ロシアでも、世界どこでも容認できない」と明らかにした。ムニューチン長官は「対北朝鮮制裁に抵抗し、北朝鮮に支援を提供した場合は、代償を払うことになるだろうという点と、このような活動が近いうちに遮断されるという点を示すために、国連制裁に合わせて処置を取っていくつもりだ」と警告した。
これとは別に米司法省も同日、ワシントン検察を通じて北朝鮮の金融機関の資金洗浄に関わった疑いで、ベルモ・マネジメント、トランスルレンティク・パートナーズ(以上シンガポール)、丹東チョンタイ貿易(中国)など3社を相手に1100万ドルを没収する訴訟を提起した。丹東チョンタイ貿易は、丹東至誠金属の別の名称で、これら3社の企業いずれも同日発表された財務省の制裁対象リストに含まれている。
今回の没収要求額は、米政府が北朝鮮問題と関連して推進してきた没収訴訟の中で最も規模が大きいものの一つだと司法省は説明した。
一方、今回の財務省の発表は制裁対象に10社前後の中国企業が含まれるという当初の予想よりは、多少弱いものと評価される。すでにマスコミやシンクタンクなどで取りざたされていた企業が制裁対象になっており、規模の大きい中国企業は除外された。また、ロシア企業と個人が含まれており、安保理制裁論議過程で消極的だったロシアに一種の警告を送った面もあると見られる。
しかし、中国は駐米大使館を通じて、米国政府のこのような追加制裁に強く反発した。中国大使館は声明を通じて「米国が直ちに間違いを修正するよう強く要求する」とし、「そうしなければ両国間の関連問題の協力に影響を与えるだろう」と警告した。
中国の反発が激しくなる場合、これまで安保理制裁決議の推進にそれなりに協力してきたと判断した中国が、これを口実にして北朝鮮問題に非協力的な態度に転じる公算が大きい。米中間の協力にヒビが入れば、北朝鮮がこれを活用しようとする可能性も高い。