米国と中国が、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に対応して5日午後(現地時間)に招集された国連安全保障理事会(安保理)緊急会議で鋭い攻防を繰り広げた。ICBM発射以前から北朝鮮核問題をめぐって相互不信が募っていた米中間の軋轢が一層深まっている。ロシアは中国の立場に積極的に同調した。
米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、中国を狙った強硬発言をよどみなく浴びせた。まず対北朝鮮制裁と関連して、ヘイリー大使は中国を圧迫するために“貿易カード”も取り出す用意があると警告した。彼女は「国連安保理の対北朝鮮制裁決議に違反して、北朝鮮との交易を許容したり、さらには奨励する国々がある。このような国々はアメリカとも貿易を継続したいと言う」として「こうしたことはありえないだろう」と明らかにした。中国に対して北朝鮮と米国との交易のうちから一つを選べとの圧迫だ。
ヘイリー大使は続けて「国際的な安保脅威を真剣に受けとめない国家とは、貿易に関する我々の姿勢を変えるだろう」と明らかにした。彼女は「今朝、ドナルド・トランプ大統領と長時間この問題について話した」とも紹介した。ヘイリー大使は、中国を名指しこそしなかったものの、続く発言で北朝鮮の交易の90%が中国との交易であり、「国連制裁強化の相当部分は中国に懸かっている」と指摘した点などから見て、中国を狙った発言であることは明らかだ。
ヘイリー大使は、米国が推進する安保理の新しい対北朝鮮制裁決議の内容についても簡単に言及した。彼女は「北朝鮮の軍事および武器プログラムにつながる原油の供給を制限することができる。航空および海上輸送も制限することができる」と明らかにした。彼女は「新しい対北朝鮮制裁決議が出されないならば、我々は我が道を行く」とし「セカンダリーボイコット」(第三者制裁)方針も明らかにした。これから推し量れば、米国は軍事用に転用できる特定種類の原油を北朝鮮に供給することを制限、または中断することを中国に強く要求するものと予想される。
これに対してロシアのウラジミール・サフロンコフ国連次席大使は「制裁では問題を解決できないということを皆が認めなければならない」と直ちに反論した。今月の安保理巡回議長国である中国の劉結一国連大使は、会議場では制裁問題に言及しなかったものの、別途に記者会見を行い「双中断」(北朝鮮の核・ミサイル凍結と韓米連合軍事訓練の中断)を繰り返し強調した。
米国と中国が対北朝鮮制裁の強度をめぐりきっ抗した対立を見せたことから、新しい対北朝鮮制裁決議が出るまでには相当な時間がかかると予想される。韓国政府も立場を定めることがきわめて難しくなった。強硬な米国側の立場に全面的に賛成する場合、高高度防衛ミサイル(THAAD)および北朝鮮核問題と関連して、長期的に中国の協力を引き出すのが難しくなる。韓国政府は新しい対北朝鮮決議には賛成するが、具体的な強度に対しては立場を定められずにいるという。
米中は北朝鮮に対する軍事オプションについても明確な見解の相違を見せた。ヘイリー大使は「我々が持っている種々の能力のうちの一つが強大な軍事力」としながら「どうしても必要ならそれを使うだろう。だが、そうした方向に進入しないことをさらに好む」と話した。ドナルド・トランプ政権の初期対北朝鮮政策立案過程で「すべての選択肢がテーブルの上にある」とした立場を思い出させる発言で、可能性は希薄だが中国と北朝鮮を同時に狙った圧迫と言える。
これに対して劉大使は「中国は朝鮮半島での混乱と衝突に明確に反対してきた。北朝鮮に対する軍事手段はオプションではない。すべての当事国は軍事訓練を自制しなければならない」として、ヘイリー大使の発言に反論した。ロシアのサフロンコフ次席大使も「軍事手段は容認できない」として、中国の立場に加勢した。また、中国とロシアはTHAADの韓国配備が領域内の安定に深刻な打撃を加えるとして逆攻勢を繰り広げた。