北朝鮮と中国のメディアが最近激しい舌戦を行う中で、中国の官営メディアが「朝中血盟」の主役である金日成(キム・イルソン)主席を名指しして北朝鮮を圧迫し始めた。朝鮮戦争と関連した「金日成責任論」までが提起された。
官営チャイナデイリーは5日、1面記事で中国国際問題研究院の楊希雨研究委員の話を引用して「朝鮮中央通信は(北)朝鮮の指導者だった金日成と金正日(キム・ジョンイル)が言った(朝鮮)半島の非核化を支持したという事実を確認しなければならない」と伝えた。2013年6月、金桂寛(キム・ゲグァン)北朝鮮外務省副相が「朝鮮半島非核化の実現は、金日成主席と金正日総書記の遺言」と述べ、同年10月には朝鮮中央通信も同じ報道をしたと伝えた。
北朝鮮は核開発を本格化しながらも、2011年金正日国防委員長が死亡するまでは「非核化は金日成の遺言」、以後には「非核化は金日成・金正日の遺言」という立場を堅持してきた。その一方で、朝鮮半島の非核化は自分たちの一方的な核放棄ではなく、米国の脅威解消と朝鮮半島周辺全体の非核化を含む概念だと強調してきた。昨年7月の北朝鮮政府報道官声明も「非核化遺言」を強調して、核による威嚇はしないという約束と在韓米軍の撤収を要求した。
中国はこれまで北朝鮮の核問題解決のためには、北朝鮮の要求を含む「すべての関連国の関心事案」が解決されなければならないと主張してきた。チャイナデイリーのインタビューを受けた楊希雨研究委員も1月に寄稿して「(朝鮮)半島から核兵器を徹底的に除去し、同時に(北)朝鮮の安保・経済など各分野の合理的関心事案が徹底的に解決されなければならない」と強調したことがある。前後の事情を知らない筈もない中国の官営メディアが突然に「非核化遺言」だけをつまみ出して強調したのは、最近北朝鮮の官営メディアが中国メディアらと舌戦を行っている状況のためではないかと見られている。
さらに中国共産党の機関紙である人民日報海外版の微信のアカウント“侠客島”は4日、朝鮮戦争と関連して金日成主席を批判する文を載せた。この文は「金日成が統一をしようとしなかったならば(朝鮮)半島にどうして戦争が起きただろうか」として「中国はその(戦争に)巻き込まれ数十万の生命を失い、中米間の20年に及ぶ対立がもたらされ、さらに両岸問題も今まで放置されるに至った。当時、朝鮮が自分勝手に軽率に犯したことの費用の大部分を中国が支払った」と主張した。朝鮮戦争を米国の勢力拡大の試みと見て、参戦を“抗米援助”として美化してきた中国当局の伝統的立場とは明確な違いがある。
一瞬にして熱くなった朝中メディアの舌戦は、両国関係が悪化した現実を反映したものと評価されている。こうした脈絡で中国の国際関係学界では「朝中同盟」を含む対北朝鮮政策再検討の必要性も提起されている。しかし、中国の立場としては、非核化目標も重要だが北朝鮮および朝鮮半島の地政学的価値も劣らず重要だという反論も依然根強い。