米国が北朝鮮をターゲットにして、テロ支援国(SST)再指定のカードを取り出した。北朝鮮に対する圧迫のレベルを最大限まで引き上げるというシグナルとみられる。
レックス・ティラーソン米国務長官は19日(現地時間)、対イラン政策の再検討作業を説明する記者会見で「北朝鮮を対話に呼び戻せるよう、北朝鮮政権に圧迫を加えるためにテロ支援国に再び指定する問題を含め、あらゆる案を検討している」と述べた。ティラーソン長官はさらに「再開される対話は前とは全く異なる条件で行われるだろう」とし、「これに関連し、すべてのオプションを検討している」と付け加えた。
ティラーソン長官の発言は「最高の圧迫と関与」というドナルド・トランプ政権の対北朝鮮政策基調のもと、ひとまず北朝鮮圧迫カードでテロ支援国再指定問題を積極的に活用するという意味とみられる。特にティラーソン長官が「対話再開」(reengage)に言及したのは、圧迫の目的が対話への誘導にあることを明確に示している。
これに先立ち、米下院は3日「北朝鮮テロ支援国再指定法案」(HR479)を上程し、賛成394票、反対1票(棄権34票)の圧倒的多数で議決した。下院を通過した法案には北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件も、再指定事由として追加された。法案が上院を通過すれば、国務長官は90日以内に議会の所管委員会に北朝鮮のテロ支援国再指定するかどうかを報告しなければならない。
政府当局者は「国連安全保障理事会の制裁をはじめ、すでに多くの制裁を受けている北朝鮮としては、テロ支援国に再指定されても、経済的打撃は微々たるものになるだろう」としたうえで、「ただし、対外イメージを重要視している金正恩委員長にとっては心理的圧迫になるかもしれない」と話した。この当局者はさらに、「北朝鮮が核・ミサイルなど追加挑発に踏み切れば、米国がテロ支援国指定を通じて北朝鮮への圧迫のレベルを高めることもあり得る」とし、「逆に米朝交渉の段階に入ると、米国としてはテロ支援国解除問題を交渉カードとして活用できる」と指摘した。
米国務省は1987年大韓航空機爆破事件が起きたことを受け、翌年、北朝鮮をテロ支援国に指定した。それから20年後の2008年、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)核施設の冷却塔を爆破し、核検証に合意すると、ジョージ・ブッシュ政権は北朝鮮をテロ支援国リストから削除した。米国はテロ支援国に指定した国に武器輸出・貿易投資・対外援助の制限など、さまざまな制裁を加えている。