ドナルド・トランプ米行政府が、短期的には高強度の北朝鮮に対する圧迫を加えるものの、これを通じて政権交替ではなく北朝鮮を非核化交渉に復帰させるという目標を明示した対北朝鮮政策を樹立したことが分かった。北朝鮮に対する軍事行動は事実上排除されたと伝えられた。
16日、複数のワシントン外交消息筋の発言と外信報道を総合すれば、トランプ行政府は「最高の圧迫と関与」という名前の対北朝鮮政策を完成し、国家安保会議(NSC)のすべての高位当局者がこれを承認した。「関与」とは、対話と交渉を意味する国際政治学の用語だ。
ワシントンポストはこれに対して「北朝鮮の核を除去するための交渉テーブルに北朝鮮を復帰させるという希望を持って最高の圧迫を加えるということ」と報道した。対北朝鮮政策の目標は非核化対話と交渉であり、制裁は手段であることを明確にしたということだ。「すべてのオプションを開けてある」という言い方で意図的・非意図的な混線を見せたトランプ行政府が、交渉の可能性を明らかにしたものと見られる。
また、外交消息筋と新聞は「米国の目標は北朝鮮政権の交替ではない」と明らかにした。レックス・ティラーソン米国務長官が9日、米国のある放送に出演し「北朝鮮の政権を交替させるという目標は持っていない」と明らかにしたが、改めてこうした基調が確認されたわけだ。米国のウッドロー・ウィルソンセンターのロバート・リトワク国際安保研究部門長も最近のセミナーで「米国とイランの核合意精神は、イラン政権を最小15年間保障するということ」とし、対北朝鮮交渉でもこのような原則の重要性を強調したことがある。
米当局者は対北朝鮮政策の目標について、北朝鮮の核・ミサイル凍結や中止ではなく“非核化”と改めて強調した。ただし、非核化に進む中間段階としての核・ミサイル凍結方案を考慮しているかはまだ明らかでない。
軍事行動と関連して米軍当局者はAP通信に、核実験やミサイル発射に対応して武力を使用する意向はないと明らかにした。彼は北朝鮮が韓国や日本、そして米国領土をターゲットにミサイルを発射するという“不可能と思われていた事件”が発生した場合には武力使用計画につながりうると付け加えた。
北朝鮮と対話がない現状況でトランプ行政府の短期的対北朝鮮政策は、中国を通した圧迫に焦点が合わされていると米当局者は明らかにした。これと関連して米中は6~7日の首脳会談に続き、トランプ大統領と習近平国家主席が12日に電話で北朝鮮問題を議論し、16日にはレックス・ティラーソン国務長官と楊潔チ外交担当国務委員が再び電話協議をした。新華社通信は両国の最高外交責任者が首脳同士の会談と通話内容を再確認し「朝鮮半島の形勢について見解を交換した」と伝えた。
一方、米国防長官出身の要人たちはトランプ行政府に対し、慎重で冷静な対北朝鮮対応を相次いで注文した。
ビル・クリントン行政府で国防長官として在職し、1994年の北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)核施設攻撃検討に深く関わったウィリアム・ペリーは14日付のロサンゼルスタイムズとのインタビューで「(米国が攻撃すれば)北朝鮮が軍事的に対応するという相当な確信がある」として「北朝鮮が威嚇してきた核兵器ではなく在来式兵器かもしれないが、それでも韓国を攻撃する場合、極めて破壊的」と述べた。彼は北朝鮮を攻撃すれば、「本(攻撃シナリオ)の1章は“ハッピーストーリー”になりうる。しかし、2章はきわめて憂慮すべき方向に展開しうるし、3章は災難レベルになるだろう」と警告した。バラク・オバマ行政府で国防長官を務めたレオン・パネッタもこの日MSNBC放送に出演し「北朝鮮が永く火薬庫であることには疑いの余地がない。しかし、今は数百万名の命を奪かねない核戦争の可能性がある。慎重でなければならない」と強調した。彼は韓国の首都圏にいる2千万人が北朝鮮の攻撃目標になりうるとし、トランプ大統領らの精製されていない対北朝鮮発言の危険性を警告した。