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[ルポ]「ベトナムピエタ像と少女像、戦争加害に対する謝罪と反省の面では本質的に同じ」

登録:2016-08-29 00:51 修正:2016-08-29 07:53
「少女像」作ったキム・ソギョン、キム・ウンソン夫妻、27日に東京で講演 
韓国のベトナム戦争責任を問う「ベトナムピエタ」を紹介 
「少女像と反省しない日本、どちらが日本国の品格を落とすものなのか」
駐韓日本大使館前の「平和の少女像」を製作したキム・ソギョンさん(左)とキム・ウンソンさん夫婦が今月27日、東京都文京区の文京区民会館でベトナム戦争に対する加害責任と向き合おうとする韓国社会の努力について講演を行った=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 27日午後6時30分、東京都文京区の文京区民会館2階会議室。駐韓日本大使館前の「平和の少女像」を作った彫刻家のキム・ソギョンさん(51)とキム・ウンソンさん(52)が「ベトナムピエタと少女像-自国の加害とどう向き合うか」をテーマに講演を行った。この日の行事には少女像に対する日本社会の高い関心を反映するかのように、150人を超える市民が会場を埋め尽くした。昨年1月、東京練馬区で開かれた「表現の不自由展」で初めて日本国内で展示された少女像が、キムさん夫妻の隣で講演を見守った。

 しかし、同日の中心テーマは、少女像ではなく、「ベトナムピエタ」を通じて自国の加害責任と向き合おうとする韓国社会の努力だった。キム・ウンソンさんは講演の冒頭で、「ベトナム戦争についてはあまり知らなかった。韓国とベトナムとの間には敵対関係や領土問題がなかった。平和紀行としてベトナムを訪れた際に、韓国軍による民間人虐殺がとても多かった事実を知った」と、ベトナムピエタを作った理由について説明した。

キムさん夫妻がベトナム戦争に対する加害責任と向き合おうとする韓国社会の努力について講演を行う間、少女像は、演壇の隣に設置されていた=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 キムさんが訪れたベトナムの村の怨恨碑や憎悪碑などには、当時韓国軍によって虐殺された人々の名前が刻まれていた。「ベトナム語で(まだ名前も付いてない)『0歳の赤ちゃん』などと書かれていた。とても悲しかったし、申し訳なく思った。何か謝罪と反省をしなければならないという思いで、ベトナムピエタ像を作ることになった」。キム夫妻は今年4月、ベトナム戦争の責任究明のために発足した「韓ベトナム平和財団」と共同で縦横がそれぞれ70センチメートル、高さ150センチメートルのピエタ像を作って公開した。同財団とキムさん夫妻は、今後この像をベトナム現地に設置する予定だ。

 日本の市民たちはこれに対する韓国社会の抵抗はないのかなどと質問し、彼らの活動に高い関心を示した。話題は自然に日本政府が執拗に撤去を要求している少女像へとつながった。キムさんは「安倍政権は少女像が日本(の国益)を損なうものだという。しかし、本当に日本国の品格を落としているのは、日本の戦争犯罪を隠して少女像の撤去を求めることなのか、過去について心から謝罪し反省することなのかについて、よく考えてほしい」と述べた。さらに、キムさん夫妻は、初めは大使館前に単なる「平和碑」を建てようとしたのに、日本政府の圧力で少女像へと拡大し、また日本政府がその撤去を求めることによって少女像が世界各地に拡散されていく現実を皮肉った。

講演直後、キムさん夫妻が本にサインを求める日本の市民たちと交流している=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 同日、キムさん夫婦の講演には多くの日本人が共感を示した。立教大学の小野沢あかね教授は「ベトナムに対する加害責任と向き合おうとする韓国の民衆美術界の努力は、自国の加害となかなか向き合えない日本と日本の美術界にも、大きな問いかけになるのではないかと思う」と指摘した。今回の討論会を企画した独立編集者の岡本有佳さんも「日本では慰安婦運動に反日というレッテルが貼られているが、自分の加害責任とも向き合おうとする韓国社会の姿を見れば、このような主張が正しくないことが分かるだろう」と話した。キム・ソギョンさんは「平和は連帯を通じて生まれると信じている」と述べた。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-08-28 14:25

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/758691.html 訳H.J

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