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THAAD配備に批判強める中国

登録:2016-08-03 22:20 修正:2016-08-04 07:16
中央電視台、環球時報など官営メディア動員 
THAAD配備予定地の慶尚北道星州に取材陣送り 
党機関紙の人民日報は朴槿恵大統領を名指し批判
韓国へのTHAAD配備に反対し、事実上朴槿恵大統領を正面から批判する内容の社説と記事を載せた3日付人民日報。右の「鐘声」は同紙の社説に相当し、THAAD関連内容を扱った=人民日報よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 中国が朝鮮半島専門家と官営メディアを動員して、韓米による高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備決定の批判をますます強めている。

 官営メディアによるTHAAD「じゅうたん爆撃」は、韓国と中国の国境を越えて進行している。官営の新華社通信は3日、チョン・セヒョン元統一部長官のインタビューを掲載した。チョン元長官は「THAAD配備は韓国自身ではなく米国の需要と利益に基づくもの」と語ったと同通信は伝えた。

 中央電視台(CCTV)はこの日、チョン元長官のインタビューの一部を紹介し、共に民主党のキム・ヨンホ議員のインタビューも報道した。キム議員は「両国国民の信頼が崩れることを憂慮している」と話した。また、同放送はこの日、ソン・ミンスン元外相の先月25日付中央日報への寄稿を紹介し、THAAD配備地に決定された慶尚北道星州の住民によるデモ、および政党懇談会などの現場の様子も連日伝えている。同放送は中国の周辺国にいる特派員を韓国に送り、別途の取材チームを構成したという。

 中国の朝鮮半島専門家らは、環球時報などのメディアを通じて連日強硬な意見を述べている。「背中から刃物で中国を刺すようだ」、「道義にもとる行為」、「処罰と制裁を加えなければならない」など報復を要求する表現が乱舞する。ある中国人の学者は3日、ハンギョレとの電話インタビューで「官営メディアに載せられる専門家たちの文は、当局からの要請によって書かれる」と指摘し「一般的には、当局が何らかの措置を取る前に関連メッセージを伝える人を探す」と話した。メディアに載った主張は、そのまま当局の見解とみなせるという意味だ。

 中国外交部傘下の国際問題研究院の院宗澤・商務副院長はこの日、中華言論従事者協会(記者協会)主催のフォーラムで「韓国のTHAAD配備決定は、韓中関係にこの上なく大きな“マイナス”だ」とし、「両国間の“プラス”は一つずつ時間をかけて積み上げてきたが、(今回のTHAAD配備決定で)両国関係は一気に大幅に後退してしまうだろう」と話した。このような状況で党機関紙の人民日報が朴槿恵(パククネ)大統領を直接批判する社説を出したことは、中国当局が現在の韓国圧迫局面から退くつもりはないことを確認したことと分析されている。復旦大朝鮮韓国研究センターのチョン・ジヨン主任は「中国の高位層が強い不快感を吐露しており、両国関係が底に墜落したことを意味する」と解説した。

 しかし、中国内部ではこのような非難一辺倒のムードが事態の解決に役立たないという指摘もされている。人民大の成曉河教授は「韓中関係は大きな局面で見れば悪くなかった。こうした敏感な時期には互いに自制し、指導者が知恵を発揮しなければならない」として「人民日報の社説についても、必ずしも直接的に朴大統領を避難したとは見られない」と話した。韓国の亜洲大のキム・フンギュ教授は「激しい感情対立と過度な圧迫や対応は、両国の利益にかえって反する結果を持たらす可能性が高い。中国も、戦略的利害に対する配慮を要求するだけでなく、韓国国民が抱く安保上の不安について十分認識しているという印象を与える必要がある」と指摘した。

 一方、3日付の人民日報が朴大統領に対して直接鋭い批判を加えたことに対して、大統領府は何の反応も示していない。公式論評はもちろん、匿名を前提とした非公式コメントも避けた。

北京/キム・ウェヒョン特派員、チェ・ヘジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/755013.html 韓国語原文入力:2016-08-03 18:03
訳J.S(1741字)

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