本文に移動

親世代より貧しい青年世代「良くなる希望もない」

登録:2016-07-14 22:55 修正:2016-07-15 06:51
10年前に較べ世帯所得が横這い・減少比率2/3超 
最大の打撃は「青年世代」と「低学歴労働者階層」
資料写真 //ハンギョレ新聞社

 三放世代(恋愛、結婚、出産を放棄した韓国の青年世代)、悟り世代(金儲けや出世に関心のない日本の青年世代)、ミレニアム世代(1980~2000年代に生まれ、世界金融危機を幼時に体験した米国の青年世代)。青年世代に付けられた名称はそれぞれ違うが、これらには共通した情緒がある。「この先、良くなる希望がない」ということだ。

 米国の「マッケンジー国際研究所」(MGI)は13日、「親世代より貧しい?先進国経済で横這い、または減少する所得」という報告書で、先進25カ国の2005年と2014年の世帯所得を比較した結果、所得が9年前に較べ横這い、または減少した世帯の比率が65~70%に達すると明らかにした。1993年と2005年を比較した同じ調査では、2005年に12年前に較べて世帯所得が横這い、または減少した比率が2%未満で、ほとんどの世帯の所得が上がっていたことに較べ途方もない差異を見せる。25カ国で世帯所得が横這い、または減少した65~70%に属する人口は、約5億4000万~5億8000万人と推算された。

 研究陣は世帯所得の水準が停滞した最大の理由として「2008年世界金融危機」以後に世界経済が本格的な低成長局面に入ったことを挙げた。「労働市場の変化」や「人口構成の変化」も主な原因だった。急速な高齢化により経済活動人口が減り、工場の自動化が進み、時間制の仕事が増加し、質の悪い仕事が増えるという全世界的な現象も世帯所得の減少に影響を及ぼした。研究陣は、世帯所得の減少で最大の打撃を受ける階層は「青年世代」と「低学歴労働者階層」と明らかにし、「親世代より貧しく生きざるをえない青年世代の現実を見せる」と指摘した。

世帯所得が9年前に較べて横這い、または減少した国家別比率(資料:マッケンジー研究所)//ハンギョレ新聞社

 米国、英国、スウェーデンなど、所得水準の高い上位25カ国を対象に実施された今回の研究で、世帯所得が減少した比率は国家別にも大きな差異が生じた。スウェーデンは10年前に較べて世帯所得が横這いまたは減少した比率が20%に過ぎない反面、米国と英国はそれぞれ81%、70%に及んだ。米国では10人に8人が10年前に較べて所得が減ったのに対して、スウェーデンでは反対に8人が所得が増えた。最近の深刻な景気低迷を受けているイタリアは、全世帯の僅か3%だけが10年前に較べて所得が増えた。研究陣は「スウェーデンの場合、一定の賃金と労働時間を保障する政府の政策と、高水準の社会保障制度が影響を及ぼした」と評価した。

 世帯所得の減少は人々の考え方にも影響を及ぼした。2015年にマッケンジー研究所がフランス、英国、米国の市民35万人を対象にアンケート調査した結果によれば、「自分の所得が増えない」と答えた人の75%は「子供世代の所得も増えないだろう」と悲観的に展望した。「自分の所得が増えている」と答えた人も、半数は「子供世代の所得は増えないだろう」と答え、程度の差はあるが未来に対する展望は明るくなかった。

 「(現在)所得が増えない」と答えた人々は「自由貿易」と「移民者」問題に対して否定的な回答が多かった。彼らのうち、自由貿易と移民者について否定的に答えた比率は50%に達した。「所得が増えている」と答えた人の否定的回答は29%であり、差が大きい。研究陣はこれを土台に「賃金が上がらず、未来に希望を持てない人が増加することは、フランスの「国民戦線」や英国の「独立党」のような極右政党が人気を得ていることと軌を一にする」と分析した。研究陣は、景気の低迷と低成長基調が続くなら、今後10年後には「賃金が減ったり停滞する世帯数」は70~80%に増えるだろうと警告した。マッケンジー研究所のリチャード・トップス・ロンドン局長は「世帯所得の減少は経済成長に対する欲求を制限し、社会福祉費用が増加するなどの影響を持たらす」と話した。

ファン・グムビ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/globaleconomy/752393.html 韓国語原文入力:2016-07-14 19:26
訳J.S(1794字)

関連記事