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[インタビュー]クリントン氏は北朝鮮孤立政策継続…トランプ氏は最も危険な大統領に

登録:2016-06-12 22:06 修正:2016-06-13 06:57
米大統領選候補の朝鮮半島政策展望 
ブルース・カミングス教授
ブルース・カミングス・シカゴ大客員教授=カン・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 今年11月8日に実施される米大統領選挙を控え、民主・共和両党の大統領選候補がそれぞれヒラリー・クリントン前国務長官とドナルド・トランプ氏になることが事実上確定し、両候補の朝鮮半島および対外政策に関心が集まっている。シカゴ大客員教授のブルース・カミングス氏(73)は12日、ハンギョレとの電子メールインタビューで、クリントン氏が大統領になれば「北朝鮮孤立化政策を継続するだろう」とし、「彼女は明確にタカ派だ。彼女がホワイトハウス執務室で下す決定には憂慮のおそれがある」と語った。「金正恩(キムジョンウン)北朝鮮労働党中央委員会委員長と対話は可能」としたトランプ氏に対しては「(彼の対外政策の中で)唯一興味を持つに値する部分」としつつも「米国史上、最も危険な大統領になるだろう」と憂慮した。

ヒラリー・クリントン氏=カン・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

クリントンが当選すれば
「彼女はタカ派…北朝鮮の非核化を要求するだろう
中国には軍事的に封じ込めるフリをして
米国企業のために市場開放戦略を展開するだろう
側近の話に耳を傾けるだろうが
保守エリート層に囲まれていることが問題」

-クリントン氏が大統領になれば、どのような対北朝鮮政策をとると考えますか。

 「北朝鮮孤立化政策を継続し、北朝鮮の非核化を要求するだろう」

-クリントン氏が直接言ったわけではないが、側近は「北朝鮮崩壊直前まで制裁を強化しなければならない」と言っています。

 「そうしたやり方は過去25年間、全く効果がなかった。次の政府の任期4年間で効果があるとは思えない。クリントン陣営が既存の国家安保システムを脱却して思考することができないことを見せる一つの事例と考える」

-トランプ氏は金正恩委員長と対話できると言っています。

 「トランプ氏が話した対外政策の中で、唯一好ましい部分だ。米国の指導者は敵性国家の指導者と対話することを大きなプレゼントであるかのように考える。米国政府が過去70年間にわたり北朝鮮を孤立させ、存在しない国家のように取り扱って得たものがあっただろうか? 衝突と傷と苦痛だけだ。フランクリン・ルーズベルト大統領は、ソ連でボルシェビキ革命が起きてから16年後の1933年にソ連と外交関係を開いた。比較的関係をよく維持したので、ソ連は第2次世界大戦でナチおよび日本に対抗した連合軍の一員になりえた」

-トランプ氏は韓国や日本に駐留する米軍を撤収することもありうると言っています。

 「トランプ氏はずっとやってきたのが交渉です。交渉状況を仮定した挑発的な最初の立場だと考える。それを通じて米国の同盟国に米軍駐留費用をより多く支払わせ、そうならなければ撤収しようとするだろう」

-トランプ氏の韓国と日本に対する核武装許容発言をどう考えればいいのでしょうか。

 「おそらく日本人の反対は強烈だろう。韓国は朴正煕(パクチョンヒ)大統領が1970年代に核兵器を開発しようとしたので、状況が違うかもしれない。しかし、米国の国家安保支配層とペンタゴン(国防総省)がそのような計画に激しく反対するだろう。トランプ氏は大統領という職位をもってすれば、言えばその通りにできると考えているようだが、国家の官僚制度は慣性が強く、その慣性の最も強いところがペンタゴンだ」

ドナルド・トランプ氏=カン・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

トランプが当選すれば
「金正恩と対話の用意があると言ったことは
唯一興味持つに値する部分
韓国、日本の駐留米軍撤収は交渉用
同盟国により多くの費用負担を望むだろう
常に自身が正しいという確信が問題」

-対外政策でヒラリーはタカ派、トランプはハト派に分類されることがあります。

 「クリントン氏は明らかにタカ派だ。彼女がホワイトハウス執務室で下す決定には憂慮のおそれがある。彼女はリビアのカダフィを引き下ろすのに重要な推進勢力だった。ところが、今リビアは完全にめちゃくちゃになった。トランプ氏はハト派ではない。彼が遊説中に見せた行動は、基本的に衝撃的な発言でテレビの関心を引くためのものだった。彼の対外政策発言の中で、唯一体系的な部分は第1次大戦と第2次大戦の間に存在した孤立主義を振りかざすことだ。しかし、トランプ氏の孤立主義は一方主義、同盟に対する非難、反移民の立場、米国単一国家主義だ。もちろん、彼は立場を頻繁に変えるので、大部分は彼が大統領になってもどのような外交政策を展開するか分からない」

-クリントン氏とトランプ氏の対中国政策を比較すると?

 「クリントン氏の対中国政策は、おそらくビル・クリントン、ジョージ・ブッシュ、バラク・オバマ大統領の政策を引き継ぐだろう。すなわち、中国との深刻な衝突は避けながら、軍事的に封じ込めるフリをし、米国企業のために継続的に中国市場を開放させるということだ。リチャード・ニクソン大統領が考案したこうした戦略の背後には、米国の巨大な超党派的企業連合勢力がある。クリントン氏もこれまでのそうした政策を決してかき乱さないだろう。トランプ氏も大統領になれば、米中関係が最も金儲けにつながり、世界で最も重要だという現実に立ち帰るだろう。彼も自身が経営する企業のシルクネクタイとは異なる製品を中国で作るだろう」

-クリントン氏やトランプ氏が誤った対外政策を展開しようとする時、側近がそれを止められるでしょうか。

 「クリントンは明らかに側近の言葉に慎重に耳を傾けるだろう。問題はサマンサ・パワー国連駐在米国大使のような強硬派など、クリントン氏がいわゆる(保守的な)ワシントンのエリート層に囲まれている点だ。

 “トランプ大統領”の最も危険な側面はナルシシズムだ。彼は常に自身が正しいと確信している。彼はロナルド・レーガン大統領以上に世界に対する事前知識を持たずにホワイトハウスに入ることになるだろう。レーガン氏は国家安保会議の間に居眠りしたこともあったが、少なくとも側近の話は聞いた。トランプ氏は完全に違う。彼は極めて積極的で途方もないエネルギーを持っていて、一日に4~5時間しか寝ないし、他人の話はほとんど聞かない。したがって、彼は(万一大統領になれば)米国史上最も危険な大統領になるだろう。米国でも19世紀には役に立たない異常な大統領がいた。しかし彼らは、今のように大規模な軍隊を統率することはなかった」

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/747834.html 韓国語原文入力:2016-06-12 19:35
訳J.S(2851字)

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