「米国産鶏肉に過度な関税」
米、先月WTOに中国を提訴
車・通信部品なども激しいつばぜり合い
低成長局面迎え、対立さらに悪化
6日、米中「戦略経済対話」で解決法に苦悩
主要2大国(G2)と呼ばれる米国と中国の間で、貿易通商分野での対立が先鋭化している。米紙ウォールストリート・ジャーナルは「国内政治面で圧力を受けている状況で、両国の経済的緊張は最近数年間で最悪の水準」と評価した。
中国産鉄鋼の対米輸出が全面禁止される危機に瀕したことが両国の経済的対立を示す代表例だ。米国国際貿易委員会(ITC)は先月27日、中国の鉄鋼メーカーがハッキングなどの不当な手法でダンピング攻勢を仕掛けて利益を得たとするUSスチールの提訴を受け入れ、法律的検討に着手したと英経済紙フィナンシャルタイムズが最近になり報じた。最終判決までには1年以上かかると見られるが、違反判定が下されれば禁輸措置など大きな波紋が予想される。米国商務省は先月、中国産冷延鋼鈑に史上最高水準の税率の522%もの反ダンピング関税爆弾を賦課した。中国は「米国が全面的な鉄鋼貿易戦争を宣言した」と反発し、世界貿易機構(WTO)に提訴する構えだ。
最近問題化した米国産鶏肉輸入問題も同様だ。米国は先月10日、中国が米国産鶏肉に対し過度な関税を賦課したとして、世界貿易機構に問題を提起した。米国が中国を世界貿易機構に提訴したのは、バラク・オバマ政権の下で12回目で、歴代の米国政府のなかで最も多い。
中国当局が人民元の価値を最近5年間での最低値水準に下げたことも米国には不満だ。米国の対中貿易赤字は3650億ドルで、米国の国内総生産(GDP)の約2%に達する。その他、自動車部品や通信装備部品でも米中間のつばぜり合いが続いている。
問題は米国も中国も低成長局面に入り、自国の国内政治状況とからみ両国間の通商対立が悪化しやすい点にある。米共和党の大統領候補に事実上確定したドナルド・トランプ氏は公然と大衆の反中感情を刺激し、中国の市場開放と国際投資誘致を要求する。中国指導部は成長鈍化を憂慮しつつ、市場不安を憂慮して積極呼応が困難な状況だ。
6日から北京で2日間の日程で開かれる米中戦略経済対話は、南シナ海、中台関係、北朝鮮の核問題などの安保問題とともに、日増しに深刻化する通商摩擦の解決に苦悩するものと見られる。米国商務省のシュィツ国際通商担当副次官は、ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、中国に国営企業の再編、鉄鋼などの生産量縮小、投資条約交渉の加速化を要求するとし、「こうした改革アジェンダを実行することが中国経済の秩序ある転換と一層持続可能な成長のための最善の方法」と述べた。中国財政部の朱光耀副部長(次官)は2日、記者会見で中国経済が直面している種々の課題に言及し、「中国政府は改革アジェンダを継続推進し、主要20カ国(G20)首脳会議で約束したとおり競争的な通貨切り下げはしない」と述べた。