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米政府、オバマ大統領広島訪問で韓国人被爆者に初めて言及

登録:2016-05-20 04:46 修正:2016-05-20 06:49
日本の被爆者と面会すれば「謝罪」に映るおそれも 
韓国慰霊碑だけ訪れれば日本の反発は必至
オバマ大統領//ハンギョレ新聞社

 米国のバラク・オバマ大統領の歴史的な広島訪問を控え、ホワイトハウスが韓国人原爆犠牲者に対し、これまでより前向きな立場を示した。オバマ大統領は、日本からは「被爆者との直接面談」を、韓国からは韓国人犠牲者慰霊碑の訪問を求められている。

 ホワイトハウスのダニエル・クリートゥンブリンク国家安全保障会議(NSC)アジア太平洋担当上級部長は18日(現地時間)、ワシントンの外信記者クラブで開かれた記者会見で、韓国人慰霊碑への訪問の可能性を尋ねられ「第2次世界大戦中、そして米軍の原爆投下で犠牲になったすべての人々を追悼するため広島を訪問する。原爆で数万人の日本人だけでなく、数多くの『韓国人』が亡くなった」と述べた。米国政府が原爆犠牲者に韓国人が含まれていたのを明らかにしたのは、今回が初めてだ。これまで米政府当局者たちは「犠牲になったすべての罪なき人々」とだけ述べてきた。

 しかし、韓国人慰霊碑訪問など具体的な日程については立場を明らかにしなかった。「日本人原爆生存者と面会する計画」についても明言を避けた。日本最大の被爆者団体「原水爆被害者団体協議会」(被団協)と湯崎英彦・広島県知事は19日、オバマ大統領と被爆者との面会を要請する書簡を米政府に送り、岸田文雄外相も同日、キャロルライン・ケネディ駐日米国大使に会い、この問題に触れた。

 オバマ大統領も「核のない世界」というアジェンダを締めくくるために、被爆者と向き合う必要があることは認識しているが、容易ではない。米国は加害者、日本は被害者という構図を浮き彫りにさせ、謝罪として受け止められる結果をもたらしかねないからだ。米国内の参戦軍人の反発を呼び、今後の大統領選挙に悪影響を及ぼす可能性もある。

 だからといって、オバマ大統領が純粋に被害者である韓国人原爆被害者慰霊碑だけを訪問するのも、外交的には容易ではない問題だ。韓国人慰霊碑だけを訪問し、日本の被爆者たちとの面会を避けた場合、広島県民の反発はさらに大きくなり、広島訪問を契機に米日同盟の強固さを示したい、別の戦略的意図が台無しになりかねないからだ。日本側も、これまで力を入れてきたオバマ大統領の広島訪問が、韓国人慰霊碑の訪問で色あせることを懸念しているようだ。過去の日本の植民地支配が浮き彫りになるかもしれないからだ。韓国人被爆者問題の解決のために長い間努力してきた日本の市民団体「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」は、この日、オバマ大統領に「韓国人原爆犠牲者慰霊碑の前で罪なき犠牲者を追悼し、生存者と遺族に謝罪すること」を要求する書簡を発送した。市場淳子会長はハンギョレとのインタビューで、「日本が韓国人被害者に謝罪し補償すべきであるように、原爆を投下した米国も韓国人被爆者に謝罪して賠償しなければならない」と語った。

 一方、ホワイトハウスが「韓国人原爆犠牲者」を明確に言及したことについて、19日、韓国原爆被害者協会陜川(ハプチョン)支部のシム・ジンテ支部長は、「米国政府が韓国人原爆被害者の存在自体を公式に言及したのは、過去71年間で初めてのこと」とし、「もう少し早く事実を認めて謝罪していたら、すでに亡くなった原爆被害者たちが少しでも報われたのに残念だ」と話した。またシム支部長は「オバマ大統領が平和公園の片隅にひっそり佇む韓国人原爆被害者慰霊碑を最初に訪れて献花し、謝罪することを期待している」と強調した。

ワシントン、東京/イ・ヨンイン、キル・ユンヒョン特派員、昌原/チェ・サンウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力: 2016-05-19 09:18

https://www.hani.co.kr/arti/international/america/744538.html 訳H.J

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