安倍首相、11月に真珠湾訪問を検討
両国の歴史のしこり解消し
「グローバル同盟」の完成に注目
バラク・オバマ米大統領の広島訪問は、「核のない世界」への個人的な信念と、日米同盟をはじめとする国際情勢などをあまねく考慮した決定と分析される。日本にとっては、今年自国で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議の日程を活用した日本外交の勝利ともいえる。
米国ホワイトハウスは10日(現地時間)、報道資料を通じて今回の訪問の目的を「『核兵器のない世界』の平和と安全を追求してきたオバマ大統領の継続的な約束のため」と説明した。ベン・ローズ・ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)副補佐官は、今回の訪問が日本に対する「謝罪」として受け止められないように、「オバマ大統領は、第2次世界大戦終戦時の核兵器使用の決定を再考していない。その代わりに、私たちの共通の未来に焦点を当てた前向きな青写真を示す予定」という説明を付け加えた。
オバマ大統領の広島訪問は、「核のない世界」に向けた自らの公約に基づき、「原爆被害の惨状を伝える」という名分を掲げ、アジア周辺国に対する加害責任を希釈する意図から積極的に進められた。オバマ大統領は、2009年11月に初めて日本を訪問した際に、「在任中に(広島を)訪問できれば光栄なことだ。私にとっては非常に意味のあること」と述べた。しかし、当時は広島訪問が実現しなかった。ウィキリークスを通じて公開された米外交専門によると、当時の薮中三十二・外務次官は、ジョン・ルース駐日大使に「(広島訪問はまだ)時期尚早」との認識を明らかにした。オバマ大統領の訪問が、米国の原爆投下に対する謝罪外交として受け止められ兼ねないという懸念が強かったからだ。
その後の7年間、日米関係には大きな変化があった。鳩山民主党政権時代に起きた沖縄普天間基地の移転をめぐる対立が取り繕われ、日米同盟は浮上する中国を牽制するための「グローバル同盟」に格上げされた。これを通じて、日本は米国のため集団的自衛権を行使できることはもちろん、米国に求められれば、世界中どこにでも駆けつけて後方支援(兵站)を行えるようになった。このような変化などに基づいて、先月11日、ジョン・ケリー米国務長官の広島訪問が実現し、これがあまり批判されなかったことを受けて、最終的にオバマ大統領の決断が下された。共同通信は、オバマ大統領の被爆地訪問に最初から賛成したキャロライン・ケネディ駐日大使とジョン・ケリー国務長官の役割が大きかったと報じた。
これまで日本政府と被爆地広島では「被爆の実相を肌で感じてほしい」として、世界の指導者たちの被爆地訪問を積極的に求めてきた。特に、安倍政権は、米国の現職大統領が訪問すれば、「インパクトが大きいだろう」(日本政府関係者)とし、オバマ大統領の判断に注目してきた。安倍晋三首相や岸田文雄外相は「謝罪」という言葉を控えることで、米国を意識した。
オバマ大統領の今回の広島訪問は、これまで進められてきた日米同盟の格上げを仕上げる歴史的事件として記憶される見込だ。日本経済新聞は11日、政府関係者を引用し、今回の決定をきっかけに安倍首相が11月にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)を活用して、「ハワイ真珠湾を訪問する案が浮上している」と報じだ。オバマ大統領の広島訪問と安倍首相の真珠湾訪問が実現すれば、両国が互いに抱いている気まずい歴史の最後のわだかまりを解消できるようになる。米ニューヨーク・タイムズ紙もこの訪問が戦時の敵から最も密接な同盟に変わる日米関係のエピローグとして機能するだろうと指摘した。
2009年に始まった米国の「再均衡政策」が、昨年4月に安倍首相の米国上下院合同演説と日米防衛協力指針の改正により中間成果を出した後、オバマ大統領の広島訪問で有終の美を飾ることになる。
米国メディアは、今回の訪問に反対しないながらも「(結局)日本には謝罪として認識されるだろう」という反応を示している。原爆被害者とオバマ大統領が会うことはないと予想されるが、突発事故の可能性は残っている。広島の被爆者である梶本淑子さん(85)は毎日新聞とのインタビューで、「(オバマ大統領が)被爆者の証言を少しでもいいから聞いてほしい」と話した。
ニューヨーク・タイムズをはじめとする米国の主要メディアは、今回の訪問の背景として、オバマ大統領の核政策に焦点を合わせ、この訪問が東アジアに与える影響についてはほとんど言及しなかった。
韓国語原文入力:2016-05-11 19:18