「イラン核交渉モデル」取り上げ
「交渉の場に引き出すよう圧迫強化すべき」と強調
北朝鮮と取引する第三者制裁の規定にも言及
執権した場合、米中の対立を招く可能性も
米民主党の大統領候補に事実上確定したヒラリー・クリントン元国務長官が、政権を握った場合、北朝鮮の核問題を米国外交の最優先課題として取り組み、北朝鮮を交渉の場に引き出すために、今よりずっと強力な圧力と制裁を実施する戦略を用意していることが分った。特に中国にも、北朝鮮に対し現在より強力な圧迫を要求するものと見られ、クリントン政権が発足した場合、米中関係と朝米関係をめぐる朝鮮半島情勢が激しく揺れ動く可能性も排除できない。
クリントン陣営で外交政策を担うジェイク・サリバン氏が16日(現地時間)、ニューヨーク・マンハッタンの「アジア・ソサエティ」で行った政策演説を通じて、このような対北朝鮮構想を明らかにしたと「ブルームバーグ・ビュー」が17日に報じた。サリバン氏は、クリントン元国務長官時代に秘書室長を務めており、2012年からイランとの秘密の核交渉を水面下で進めていた人物であることから、この日の演説は事実上、クリントン陣営が初めて公開的に示した対北朝鮮政策構想と言える。
サリバン氏は、この日の講演で、北朝鮮の核問題と関連し、「米国に対する最も重要な安全保障上の脅威として、次期大統領は最優先議題として取り上げねばならない。あまりにも重要であるため緊急を要する」と明らかにした。また「次期大統領は習近平・中国国家主席との最初の首脳会談で、北朝鮮の核問題を最も優先的かつ重要な議題にすべき」と強調した。
この「北朝鮮核問題の最優先課題化」は、北朝鮮の核問題がこれまでオバマ政権の「戦略的忍耐」の名の下で、あまり重視されなかったことを考えると、肯定的に評価できる側面もある。しかし、サリバン氏は北朝鮮を交渉に引き出す唯一の方法は、“果敢に”北朝鮮に対する圧力を強化することであり、イランに加えられた国際制裁がおおまかなモデルになれるとした。 「イラン式モデル」とは、昨年、米国との核交渉を妥結させたイランのように、対外関係を完全に封鎖するレベルの強力な制裁を加えることで、最終的に交渉を選択せざるを得ないよう追い込む圧迫戦略をいう。しかし、このイランモデルは、中国を除く国際社会との経済交流がほとんどない北朝鮮に対して効果をあげるのが難しいだけでなく、場合によっては、朝鮮半島の緊張を高め、安全保障と核の脅威をより高める可能性があるとも指摘される。クリントン陣営の外交政策に深く関与しているウェンディ・シャーマン元国務省政務次官も、最近の演説で北朝鮮問題を最優先課題に掲げ、「北朝鮮が近い将来に崩壊やクーデターが起こるかも知れないと思われるほど厳しいレベルの制裁を加えるべきだ」と主張した。
サリバン氏はまた、北朝鮮に対する圧迫を誘導するため、米議会が今年2月に議決した対北朝鮮制裁法の「セカンダリー・ボイコット条項」(第三者制裁)にも触れたと、ブルームバーグ・ビューは報じた。第三者制裁は北朝鮮と取引する他の国の企業や個人も制裁するものだが、現実的には北朝鮮との交易が多い中国に狙いを定めている。中国政府はこれまで第三者制裁に激しく反対してきたため、米国が押し通す場合、米中関係にも少なからぬ波紋が予想される。
2008年の民主党大統領選挙の予備選挙当時、オバマ大統領が、北朝鮮はもちろん、キューバ、イラン、シリアまで敵国の指導者の条件なしで会うと述べた際に、これを「安易だ」と攻撃するなど、外交政策におけるクリントン元長官の「タカ派」(強硬派)的性向は、すでによく知られている。
ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力: 2016-05-19 19:19