「東欧MD配備で米ロ間の反目深化」
韓国のTHAAD配備で起きた米中軋轢と酷似
「MDは技術的問題で作動できないだろう」
元米国防長官のウィリアム・ペリー氏が、米国のミサイル防衛システム(MD)には技術的問題があり「税金の浪費」になるだろうと指摘した。
ペリー元長官は9日、英紙ガーディアンが主催しロンドンで開かれた行事で、米ロ間の反目が激化した原因の一つに、米国の一方的な東欧ミサイル防衛システムの配備を挙げ、このように述べた。
ペリー元長官はビル・クリントン政権時代の1994年から1997年まで国防長官を務め、米国内でも人望が高い。 北朝鮮包容政策を骨格とする「ペリープロセス」を作った張本人でもある。
ペリー氏は「最近5年間、ロシアのウラジミール・プーチン大統領がウクライナとシリアを侵攻したことは非難されて当然だ」とした上で「しかし時間を遡れば、冷戦が終わり旧ソ連が崩壊した直後に米国はロシアを無視して様々な重大な失敗を続けたことにより関係悪化を自ら招いた責任は大きい」と述べた。 そして「当時米国は、ヨーロッパをイランのミサイル脅威から守らなければばならないと考えたが、ロシアは(米国が)ミサイル防衛システムを配備すればロシアの抑止力を大幅に弱化させると反発した」とし「しかし米国の指導部は、ロシアがどう思おうが気を遣う必要はないと無視した」と述べた。
ペリー氏は「オバマ政権になって東欧ミサイル防衛システムを多少弱化させたが、ロシアの警戒心が和らぎはしなかった」と指摘し、「私は技術的な問題のためにミサイル防衛システムはまともに作動せず税金の浪費だと考えた。 ロシアにも『そんなに心配する必要はない。まともに作動できないだろう』と説得したが態度は変わらなかった」と付け加えた。 ロシアの反対→米国の配備強行→米ロ関係の悪化という一連の過程は、最近の米国による韓国への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を巡る米中軋轢と酷似している。
またペリー氏は、別の米国の失策として北大西洋条約機構(NATO)の東進政策を挙げた。 冷戦終結後、米国はロシアと国境を接する一部の東欧諸国までNATOに加入させた。 「アル・ゴア元副大統領をはじめとする米国指導部は『3等級のロシアに気を遣う必要はない』とロシアの度重なる反対を無視した」とし「最初はNATOとも友人になりうると感じていたロシアは、それ以後態度を変えた」と述べた。