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[ルポ]福島の避難住民たちが編み出す布草履

登録:2016-03-08 22:22 修正:2016-03-09 08:13
「布草履を作っていると一日がとても速いです」
先月26日、福島県会津美里の仮設住宅で楢葉町出身の避難住民たちが布草履を作っている=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

東日本大震災が起きた年の12月から 
「布草履」の作り方教わり制作開始 
全国的に販売され、外国からの注文も 
つらい避難生活に耐え抜く勇気もらえる

 「あはは、ははは〜!」

 先月26日、福島県会津美里の仮設住宅団地。長い避難生活で誰もが気が立っているだろうと思っていたが、作業に熱中している高齢者の間では笑い声が絶えなかった。彼らが作っているのは、福島県の会津地方に伝わる伝統的な草履の作り方を応用した「布草履」。草履を編むのに必要な色取り取りの布を切っていたトダ・ユキオさん(91)は、記者を振り返り「何歳か当ててみて」と言いながらにやりと笑った。

 彼らが草履づくりを始めたのは3・11原発事故が起きた2011年の12月からだ。事故のため、会津美里の仮設住宅に定着した楢葉町の住民と、彼らを迎え入れた会津の人たちが交流会を開いていく中で、布草履に関心を持った避難住民たちのために草履づくりの講習会が始まった。住民8人は「わらじ組」という会を結成した。

布草履=キル・ユンヒョン特派員//ハンギョレ新聞社

 避難住民たちにとって草履作りとは何を意味するのだろうか。ミシンをかけて布を縫っていたキムラ・キョウコさん(68)は、「これをやっていると、一日がとても速い。何かを作るというのが良いのかもしれない」と語った。

 避難民たちを最も苦しめるのは、自分たちが住んでいた地域共同体が解体されバラバラになったことだ。このため、高齢の避難民が仮設住宅などで人知れず亡くなったまま発見される「孤独死」がますます増えている。

 これに比べ、ここの高齢者たちは、一見些細なことのように見える草履づくりという共同活動を通じて、新たな社会的関係を結び、つらい避難生活を耐え抜く勇気をもらっている。トダさんは2011年8月、仮設住宅で夫人に先立たれる悲しみを経験したが、草履作りで隣近所と交流しながらつらい時期を乗り越えた。仮設住宅の住民代表のワタナベ・トシマサさん(48)は、「住民が集まって何かをするということに意味がある。仕事を終えて夜一緒にお酒を飲むのが、皆にとって嬉しい日課となった」と話した。

 住民が作った草履は楢葉住民たちが作った製品という意味の「narahato」というブランドに成長した。生協の「パールシステム」が色取り取りの草履を一括して買い取り、全国に販売している。昨年はイタリアの高級ブランド「マルニ(MARNI)」から依頼され、150足を納品した。

福島県会津美里/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2016-03-07 19:53

https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/733752.html 訳H.J

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