人権侵害・贅沢品の購入まで制裁
「マネーロンダリング懸念対象の指定」も検討
米国上院が、包括的な制裁の分野と強力な制裁内容を盛り込んだ北朝鮮制裁法案を、満場一致で通過させた。北朝鮮の核実験と長距離ロケット発射以降、北朝鮮に対する米国社会の強硬な雰囲気を反映したものと分析される。
米上院は10日(現地時間)、全体会議を開き、コリー・ガードナー上院東アジア太平洋小委員会委員長とロバート・メネンデズ議員の法案内容を合わせた対北朝鮮制裁法案を、出席議員96人全員の賛成で通過させた。この法案は、10項目を超える行政命令や敵性国交易法、愛国法、非拡散法など、様々な法律に分散されていた北朝鮮関連の内容を一つの統合された法案に集めたものだ。
新しい法案は、これまでの北朝鮮制裁法案の中で最も包括的なものだ。制裁の分野を見てみると、核とミサイルの開発だけでなく、サイバー攻撃、人権侵害、指導層の贅沢品の購入などに関与した個人や団体にも制裁を加えられるようにした。
制裁の内容では、当初ガードナー議員の草案で最も問題になっていた「産業活動に利用する北朝鮮の鉱物に対する制裁条項」は、「大量破壊兵器や運搬システムの拡散活動に関連する産業活動」に制裁の範囲が大きく絞られた。北朝鮮の鉱物を最も多く輸入している中国と衝突する可能性を考慮したものと見られる。
法案には、北朝鮮と取引する第三国の個人や団体などにも制裁を拡大できる、いわゆる「セカンダリーボイコット」(第三者制裁)条項も盛り込まれている。国連安全保障理事会の決議違反行為、人権侵害、検閲などが代表的だが、人権や検閲は政治的な性格が強く、国連安全保障理事会決議に関連「第三者制裁」は、政府の裁量に委ねられた。
2005年のバンコ・デルタ・アジア(BDA)に対する制裁で、注目が集まったマネーロンダリング懸念対象の指定と関連し、財務長官が6カ月以内に、北朝鮮を「優先マネーロンダリング懸念国」に指定できるような根拠があるかどうかを議会に報告し、根拠がある場合は何らかの措置を実施することを明記した。
このように、法案の主な条項を履行するかどうかは政府の裁量に委ねられており、政権の意志が重要な要因になるものと見られる。これより先、ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は8日のブリーフィングで、バンコ・デルタ・アジア式の強力な制裁の可能性を尋ねる質問に「そのような追加的措置も排除しない」と答えた。
しかし、米国政府が中国企業と銀行の被害につながる「第三者制裁」や「マネーロンダリング懸念対象の指定」を行使する可能性は、それほど高くないというのが大方の分析だ。米国内部事情に精通する消息筋は「中国の銀行は、北朝鮮だけでなく、米国やフィリピン、ベトナムなど、各国の銀行との取引もある。前例からして、中国政府が米国企業を通じて米国政府を遠回しで圧迫する可能性もある」との見通しを示した。
上院を通過した法案は、下院の法案を修正したもので、23日以降、下院の再審の手続きを経て政府に渡される。
韓国語原文入力: 2016-02-11 19:25