「日米韓の協力に基づき5カ国間の協力を強固に」
“5対1の構図”を構築し、北朝鮮への圧迫を強化
対北朝鮮非核化の要求レベルもさらに高める
人権侵害の究明に平和統一論を力説
非核化交渉は「誠意」を条件に
北朝鮮「平和協定が先」原論的な反応
朝米間水面下の接触の可能性に「神経尖らせる」
北朝鮮と北朝鮮の核問題と関連して、今回の韓米首脳会談で最も目を引く結果は、「北朝鮮に関する韓米共同声明」(共同声明)の発表だ。朴槿恵(パク・クネ)大統領とバラク・オバマ米国大統領が16日(現地時間)に発表したこの共同声明で「北朝鮮の核問題を最も緊急な課題として、確固たる意志を持って対処することに合意した」と強調したのが、特に注目される。北朝鮮の核問題に対する政策的な優先順位を高めることを公に宣言したのだ。共同声明の採択を韓国側が先に提案したという政府関係者の言及からして、韓国側の説得に米国側が同意して発表されたものと見られる。
問題は対応の方向だ。焦点が“敷居を下げて早期に6カ国協議を再開する”ことではなく、対北圧迫の強化に当てられている。さらに韓米首脳は共同声明と会見で「6カ国協議」を一度も言及しなかった。
韓米首脳が明らかにした北朝鮮への対応方向はいくつかに分けられている。まず、“5対1の構図”の構築を通じた圧迫の強化だ。朴大統領は会見で、「韓米日3カ国の協力をもとに(北朝鮮を除いた6カ国協議参加国の)5カ国間の協力をさらに強固にする」と強調した。オバマ大統領も「中国も北朝鮮に対する圧力の行使に協力してほしい」と述べた。これは「6カ国協議の早期再開」と「朝米対話」という北朝鮮と中国のアプローチとは全く違う方向だ。それに“5対1の構図”を通じた北朝鮮への圧迫は、ブッシュ米政権当時のネオコンが好んだアプローチだ。
第二に、北朝鮮に要求する非核化のレベルも強硬になった。韓米両国は共同声明で「北朝鮮の完全かつ検証可能で非可逆的な非核化を平和的に達成するため、私たちの公約を再確認する」と明らかにした。これまではなかった「後戻りできない」という表現が追加された。「完全かつ検証可能で非可逆的な非核化」(CVID)は「リビア式の解決法」と呼ばれるネオコンのスローガンだ。北朝鮮側は、カダフィ体制の崩壊後のリビア式解決法を体制崩壊の試みとみなし、神経を尖らせてきた。
第三に、北朝鮮の人権問題に対する強硬な姿勢の表明だ。両首脳が共同声明で「人権侵害の責任を糾明」すると強調したのが代表的だ。元政府高官は18日、「北朝鮮と真剣な交渉するのに役に立たないアプローチ」だと指摘した。
第四に、朴大統領は訪米期間中に「核問題を解決するための究極で、最も簡単な方法は平和統一」という「持論」を繰り返し強調した。「統一韓国は平和の助産婦になるだろう」とし「韓米同盟の奇跡の歴史を朝鮮半島全域に拡大していくた時」とも述べた。
北朝鮮が「吸収統一の試み」(北朝鮮の核解決策=統一)や「リビア式解決法」(CVID)、「孤立圧殺策動」(5対1の構図)と見なすこのアプローチでは、北朝鮮の受け入れと6カ国協議の再開を期待するのは難しい。
6カ国協議再開の糸口が全く見当たらないわけではない。オバマ大統領は会見で、「北朝鮮は『制裁の解除と(北米間の)関係改善に関心があり、非核化について真剣に話し合う準備ができている」と述べたが、本当にそうであれば、米国も(対話の)テーブルに座る用意がある」と強調した。朴大統領も「北朝鮮が非核化について誠意ある態度を見せれば、国際社会と共に協力的な措置をとる用意がある」と明らかにした。しかし、韓米首脳は、米国と非核化交渉に成功したイランとは異なり、北朝鮮は「(少なくとも現時点では)誠意が見られない」と付け加えた。韓米両国が先に動くつもりはないという意味だ。
ただし、北朝鮮側が劉雲山・中国共産党中央委員会常務委員の労働党創建記念行事への出席など、最近朝中関係が復元の兆しを見せていることから、少なくとも今のところは、ロケット発射など軍事的な脅威行動には出ないだろうというのが、専門家たちの大方の予想だ。その代わりに、北朝鮮がオバマ大統領の言及以来、米国側が北米間の水面下の、あるいは公開的な接触に出るのかを見守る可能性がある。しばらくの間は水面下で探索戦が行われる余地があるという意味だ。
北朝鮮は17日、「外務省声明」を発表し、韓米首脳会談に全く言及しないまま「我々は、6カ国協議で非核化議論を先に行ったり、核問題と平和保障問題を同時に議論したこともあるが、合意が実行に移されなかった」とし「停戦協定を平和協定に変えることをいかなる問題よりも優先するべきだといのが我々の結論」と明らかにした。また、「朝米間の信頼を積み上げて、戦争の根源を除去できれば、核軍備競争も、最終的に終息できるだろう」と強調した。だが、韓米両国と北朝鮮の間に接点の余地がそれほど広くないものと見られる。
韓国語原文入力:2015-10-18 19:37