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「軍事崛起」宣言した中国...先端兵器で日米に力を誇示

登録:2015-09-04 01:57 修正:2015-09-04 16:17

 軍事パレードでMD無力化するミサイルなど披露
 「中国の利益に介入すべきではない」とのメッセージ
 「第二次世界大戦の犠牲者のうち、中国人3500万」
 国際社会への貢献を強調し「大国への熱望」を露わに
 NYT「中国の国家主義に警戒心を高めるべき」

中距離弾道ミサイル東風26。射程距離4000キロメートル。米国のグアム基地まで狙える //ハンギョレ新聞社

 3日、中国北京の天安門広場で約70分にわたって行われた抗日反ファシスト戦争勝利70周年記念式典と軍事パレードは、中国の「軍事崛起(軍事的に高くそびえ立つ)」と、名実共に国際社会のリーダーを目指す中国の熱望を露わにしたものだった。

 李克強首相の開始宣言に続き、習近平国家主席の演説とオープンカー査閲で始まったパレードは、巨大な規模と最先端兵器の公開で終始雰囲気を圧倒した。CCTV(中国中央テレビ)の空撮画面は1万2000人の兵力と戦車、ミサイルなど500に達する兵器を誇示し、中国軍の威容を世界に知らしめた。射程距離が1万キロメートルに達し核弾頭も装着できるため、米国のミサイル防衛システム(MD)を無力化できるとされる東風31Aと、“空母キラー”と呼ばれる東風-21D、“グアムキラー”として知られる東風26を初めて公開したことから、相手が米国であることは容易に推察できる。習近平主席と共に天安門望楼に上った49カ国の代表団は、先端化した中国軍の威力を目の当たりにした。

大陸間弾道ミサイル(ICBM)東風31A。東風31の改良型。固体燃料搭載。射程距離1万1200キロメートル//ハンギョレ新聞社

 ある中国専門家は、「軍事パレードのメッセージは明らかだ。一言でいうと、米国や日本に『(射程距離が)あなたたちの領土まで及ぶ兵器を保有しているから、中国の主要な利益にむやみに介入すべきではない』ということだ」と述べた。米国が日本やフィリピンなど同盟国と連合して中国封鎖を目標に進めている「アジア再均衡」戦略に警告を送ったことになる。これは、習近平主席が就任直後から対米関係の基準として提示した「新型大国関係」の延長線上にある。ストックホルム国際平和研究所のマチュー・デュシャテル研究員は、英国のBBC放送に「中国が軍事パレードを通じて兵器産業の発展を見せようとする意図を表わした」と述べた。米紙ニューヨークタイムズも「中国は抗日反ファシスト戦争勝利70周年記念という名前で式典を開いたが、実際には、米国、日本、アジア各国に自国の新兵器を誇る軍事パレードを中核に配置した」と報じた。

 また、中国は、現在の国際社会の秩序を作るのに、米国に劣らぬ貢献をしたという点を強調することで、名実共に責任ある大国の地位を再確立しようとする熱望も表した。習主席は10分間にわたる記念演説で、日本や特定の国に対する批判を控える代わりに、第二次世界大戦当時、中国が反ファシスト戦争で米国、英国など欧米諸国に劣らない犠牲と貢献をしたと強調した。習主席は「中国人民は多大な犠牲を通じて、世界の反ファシスト戦場の東方戦場を支え、勝利に重大な貢献をした」とし、「この戦争中に世界で1億人以上が亡くなり、このうち中国の犠牲者は3500万人にも達する」と述べた。東アジア戦場を欧州の戦場と一緒に第二次世界大戦の二大戦場として評価し、その一角の戦争を中国が担ったと強調したのだ。

対艦弾道ミサイル東風21D(DF-21D)。 初披露。最大射程距離1450キロメートル。「空母キラー」と呼ばれる//ハンギョレ新聞社

中国国営メディアは「中国が第二次世界大戦当時、世界に寄与した功労を正しく評価されていない」と主張してきた。演説のハイライトは、中国軍の兵力を減縮するという発表だった。習主席は「中国軍兵力を30万人減らす」内容の電撃発表を通じて、中国が覇権を追求する勢力ではないことを浮き彫りにしようとした。安保法制の制・改定を通じて軍事的な膨張を試みる日本と対比を成す姿を演出しようとしたものだった。

 習主席をはじめとする中国指導部は、今回の軍事パレードを通じて、アヘン戦争以来の中国の宿願である富国と強兵が遠い夢ではないというメッセージを、国内に向けて送ろうとしたものと思われる。中国はCCTVなどの主要なメディアを通じて軍事パレードを生中継した。今回の軍事パレードには85万人がボランティアとして参加し、北京の中心部を全面統制する国家動員の行事として行われた。各学校には、パレードを見た所感と「中国の夢」を新学期の最初の授業テーマとするように、中央宣伝部の指示が通達された。習主席は最近の不況と天津港の化学物流倉庫事故、長江のフェリー沈没事故などで悪化した世論を意識したように、「最後の峠を越えるのが最も難しいという言葉があるように、中華民族の偉大な復興を成し遂げるためには、多くの世代の努力が必要だ。中華民族は5000年の歴史の輝かしい明日を必ず実現できる」と述べた。

中高度無人機翼龍1。空中偵察と爆撃用のBA7空対地ミサイルなど搭載可能//ハンギョレ新聞社

 しかし、中国指導部が、今回の軍事パレードを通じて初期の目的を達成できるかどうかは未知数だ。ニューヨークタイムズは「軍事パレードには、中国の国家主義や民族主義の跋扈を懸念するアジア各国の警戒心をより一層高める素地がある」とし「習主席がこれを見過ごした可能性がある」と伝えた。米国のピュー・リサーチセンターがアジア10カ国の1万5000人を対象にした最近の世論調査では、日本に対する好感度が71%で、中国に対する好感度(57%)よりも高かった。先端兵器を総動員した中国の“力自慢”は脅威としてのイメージをさらに強くするものだったかもしれない。

北京/ソン・ヨンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-09-03 21:23

https://www.hani.co.kr/arti/international/china/707396.html  訳H.J

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