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ジャーナリスト・むのたけじ氏「日本は戦争責任に沈黙、言論は自らの使命尽くせ」

登録:2015-07-23 00:12 修正:2015-07-23 08:42
 自民党安保法制に関連し記者会見場でマイク握る
 「戦争責任と悪行謝罪に日本の言論は何もせず」
 安倍首相は“戸締まり”を名分に軍国主義回帰工作」
むのたけじ(武野武治)日本のジャーナリスト=ユーチューブ動画よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 「質疑応答の時間が足りなくなりませんか、大丈夫ですか? それではきっかり5分だけ話します」。今年、満100歳になった日本のジャーナリスト・むのたけじ(武野武治)氏が21日午後2時、東京千代田区の日本プレスセンター10階に用意された記者会見場でマイクを握った。高齢のために立ち上がることは難しく、席に座ったままだった。 彼は1915年に秋田県で生まれ、1936年に報知新聞に入社したが1940年に朝日新聞に転職し、中国、東南アジア特派員を歴任したジャーナリストだ。

 感受性が最も鋭かった20代半ばに彼が目撃したものは、侵略戦争の現場で日本軍が行ったあらゆる残虐行為だった。 彼は以後、日本の戦争責任を痛感し会社を退社して故郷である秋田県に行き長期に亘り地域の報道機関と反戦運動をリードした。

 「三つのことだけを短く話します。最初に、私は80年間ジャーナリズムの道を歩んできました。 今最も強く感じるのは、なにがあろうとも第3次世界世界大戦を起こしてはならないということです。 仮にそれが起きれば何が発生するでしょうか。 先日、バラク・オバマ大統領が記者たちとの雑談の席で、米国が持つ核弾頭について話したことがあります。国連(UN)常任理事国とその他数カ国が持つ原子爆弾の数は数万発です。 これが地球で使われる場合、どんなことになるでしょうか。人類の滅亡のみならず、地球上の多くの動植物が死ぬことになります。 私はそのような危険がない世界で暮らしたいと思います」

 穏やかに発言を続けていたむのたけじ氏のトーンが徐々に高まり始めた。

 「現在のような情勢の下で、安倍晋三首相は日本の社会体制をかつての軍国主義体制に戻そうと色々な工作をしています。 そのための例え話として「戸締まりを固くすれば泥棒がはいってこない」という話をします。 そうして軍国主義に戻ろうとしている安倍首相には政治家として資格がありますか? 安倍、あなたは何度もテレビに出演して「日本国民の生命と財産を守る責任は政府にあり、その最高責任者は私」と話しました。 その責任を全うするには何をしなければならないかを考えなければなりません。

 「そして最後です。この会見場には多くのジャーナリズム関係者が集まっています。 私は昭和6年(1931年)に満州事変が発生した時、中学校の5年生でした。 その5年後の21歳で新聞記者になって戦争を4年経験しました。当時日本のジャーナリズムは酷いものでした。ジャーナリズムは歴史の日記帳です。 過去にどんなことがあったので、今日どんなことがあって、明日はどんなことがあるだろう、このような社会現象の原因を明らかにし、誤りを犯さずに明日を作れるようにするものです。 日本の言論がその役割を正しく果したと言える日が来るのでしょうか?

 昭和20年(1945年)8月15日に日本が降服する前の12日に、日本の言論には日本がポツダム宣言を受諾するという情報が伝えられました。日本の報道機関が生きていたならば「軍部が降服を選択した」と報道しなければなりません。 少なくとも(15日正午になされた)天皇の放送の前にはその事実を明らかにしていなければなりません。 しかし誰もこれを報道しませんでした。 そして以後にしなければならなかったことは、日本国民全体の責任と自負心を持って歴史の経験を整理し、責任を負わなければならないことには責任を負うことでした。 15年戦争(1931年の満州事変から1945年の第2次大戦敗戦まで続いた15年間の戦争)を始めたのは誰であり、何を狙ったものか、(日本軍は)戦場でどんなことをしたのか、その悪行に対する罪を濯ぐために言葉だけでなく物心両面で謝罪するということでした。 しかしこれらすべてのことを連合軍に任せて、日本国民が自らしたことは一つもありません。 この歴史の課題に対して日本の報道機関は、しなければならないことを何もせず、どこでもしませんでした」

 10分余にわたる長い発言の最後にむの氏は「(今まで様々な歴史的)事実が示しているように、戦争を止めるには戦争が始まらないようにするしかない。 戦争が始まれば何もできなくなる」として話を終えた。 この日、むの氏が参加した記者会見は日本の歴代首相に対して、執権自民党が今月16日に衆議院本会議で強行通過させた安保法制を再検討できるよう安倍首相を説得してほしいと要請する記者会見だった。

東京/キル・ユンヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/701412.html 韓国語原文入力:2015-07-22 16:29
訳J.S(2111字)

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