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中国国防白書「海洋主権守護…武装衝突に対備」明記

登録:2015-05-26 23:40 修正:2015-05-27 07:31
 南シナ海の海上主権争奪戦続く公算
 海軍力を強化し輸送路確保
 「攻撃されれば必ず反撃」
 攻撃的防御戦略方針も
 米国と“強 対 強”戦略
中国とシンガポールが23~25日に南シナ海で行った“海上合同訓練2015”に参加した中国のミサイル フリゲート艦が艦砲を発射している。 最近、南シナ海では領有権と海上統制権を巡り中国と東南アジア国家はもちろん米国までが介入して利害当事国間の軋轢と軍事的緊張が高まっている=シンガポール/新華連合ニュース

 26日、中国が国防白書を通じて「海は中国の持続可能な発展と直結している」とし、海洋主権と利益守護のために海軍力を強化すると明らかにした。 南シナ海での人工島建設問題を巡り米国をはじめとする東南アジア国家との軋轢から一歩も退かない方針を公表したもので、この地域の緊張が一層高まるものと見られる。

 中国国防部はこの日、北京国務院新聞弁公室から「2015年中国の軍事戦略」というタイトルで約9000余の国防白書を発表した。 国防部は白書で「現在、世界経済と戦略の中心はアジア太平洋地域に移動している。 海上での主権争奪戦が長期間続くだろう」と明示した。中国新聞網は「中国が国防白書で領有権紛争の事実を認めたのは今回が初めて」と報道した。 白書はこのような判断の根拠として「米国はアジア再均衡戦略によりこの地域の同盟を強化して、軍事的存在感を高め近接偵察も行っている。 日本も2次大戦後の国際秩序から脱離して軍事安保政策を再調整している」として「加えて南シナ海に隣接した近隣諸国は、中国領の暗礁を不法的に占拠し中国の領土主権と海洋利益を脅かしている」と明らかにした。

 白書は「海は中国の長期的持続発展と不可分の関係」にあるとして「中国海軍は今後、既存の近海防御から遠洋防御へ積極的作戦概念に拡張し、海洋主権と権益を守護するだろう」として、海軍の作戦範囲を拡大する方針を強調した。 白書は特に「中国軍はこれまで陸軍を重視し海軍を軽視する伝統観念を必ず打破し、海洋利益を高度に重視しなければならない」と明らかにした。 ある中国軍事科学院研究員はチャイナデイリーに「輸出に依存している中国経済は強い海軍力を基に戦略的な海岸輸送路を確保しなければならない」と述べた。

 白書は中国軍の「攻勢的な」防御戦略方針も提示した。 白書は「中国軍の防御、自衛原則には変わりがない」としつつも「中国が先に攻撃をすることはないが、相手が先に中国を攻撃してくるなら必ず反撃する。さらに大きな重大危機に連鎖する事態を予防するには、突発的な軍事衝突に対備する体制を整えなければならない」と述べた。 これは最近、南シナ海人工島建設問題を巡り米国が“航行の自由”を前面に掲げて海軍力投入も示唆したことに対して“強 対 強”戦略で対抗する意志を示したものと見られる。 南シナ海は習近平・国家主席が国政課題として掲げた「一帯一路(アジアとヨーロッパ、アフリカにつながる陸・海上シルクロード計画)構想」における海上シルクロードの要所であり核心エネルギー輸送路だ。 楊宇軍・国防部報道官は「米国が相手の核心利益を尊重し、軋轢と危機を管理することを願う」と述べた。

 中国は国防白書で「強軍の夢」を力説し、各軍の戦略的変化も提示した。 白書は「中国の夢は強国の夢であり、強国の夢には強軍建設が必須だ」と指摘し、「陸軍はこれまでの各軍区の地域防御概念から全域合同防御戦略に進むべきで、空軍と核兵器を運用する第2砲兵はそれぞれ攻守兼用戦略とミサイルの精密打撃強化に焦点を合わせなければならない」とした。 宇宙軍、インターネット部隊などを養成するということも指摘した。

 朝鮮半島情勢に関しては「朝鮮半島と北東アジア地域の情勢に多くの不確実・不安定要因が存在する」と言及した。 北朝鮮の核問題と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)試験などを念頭に置いたものと見られる。

 中国は1998年から2年ごとに国防白書を発表してきた。 2013年には人民解放軍の兵力が230万人と明らかにもした。今回の国防白書は9回目だが、国防戦略を主題としたのは今回が初めてだ。

北京/ソン・ヨンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/china/692939.html 韓国語原文入力:2015-05-26 21:20
訳J.S(1875字)

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